2019 Fiscal Year Research-status Report
多職種連携による知的障がい者家族の親亡き後に関する包括的な支援構築の実践研究
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19K14428
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
谷川 哲子 (山田哲子) 立教大学, 現代心理学部, 准教授 (70792373)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 知的障害 / 障害者家族 / 親なき後 / 心理教育 / 多職種連携 / 質的研究法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,知的障がいのある子どもの親が抱く最大の不安である「親亡き後の不安」に着目し,知的障害のある本人を含む家族が主体的に将来のプランニングを行うため,心理教育プログラム(山田,2018) の修正および実践,その効果検討を目的としている。特に,心理領域だけでなく、司法領域や福祉領域などの多職種の専門家および知的障がい者およびその家族の体験からボトムアップにて導き出された知見を活かし,心理教育プログラム(山田,2018) の修正・精緻化を行う。 2019年度の研究においては,まずは現行の心理教育プログラム(山田,2018)について知的障がい者家族からの生の声を聞くために、関東圏にある親の会の協力のもと、知的障がいのある子どもがいる親30名弱を対象にプログラムを2019年11月に行なった。その際、プログラムの事前事後・1ヶ月後に質問紙調査、12月にはプログラムに参加した親たちを対象にグループインタビュー調査を実施した。その結果、プログラムの内容のうち、「知的障がいのある子どもの将来の生活場所を選択した家族の心理的プロセス」への満足感やインパクトが高いことがわかった。このことから、他者の体験がロールモデルとして機能することが判明した。しかし、1ヶ月後に実施した質問紙調査では、プログラム単体の行動面への変容は生じにくいことがわかった。グループインタビュー調査からは、グループインタビュー自体がピアグループとして機能する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
司法分野や福祉分野などから知的障がいのある本人および家族を支援する専門家に対するフォーカスグループインタビューが先方の日程の都合で実施出来ていない。インタビューのガイドラインなどは作成済みで、実施準備は完了している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、知的障がい者およびその家族の支援に携わっている司法や福祉分野の専門家4~6名を対象とし,司法分野からは成年後見制度を扱う弁護士,福祉分野からは社会福祉士や現場で知的障がいのある本人及び家族と関わる支援員やケースワーカーなどの多職種の専門家を集め,グループインタビュー調査を行う。テーマは親亡き後を見据えた支援についてや各専門家の現場で起きている親亡き後に関連する問題について,また心理教育プログラム(山田,2018)を題材にしてその改善点などについてである。グループの様子はビデオカメラで録画およびICレコーダーにて録音し,言語記録に映像記録を反映させた逐語録にして,質的分析を行う。これにより,心理分野以外の専門家によるプログラムの改善点や修正点,盛り込んだ方が良い内容などを明らかにする。
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Causes of Carryover |
専門家を対象としたフォーカスグループインタビューおよび計画されていた地方の入所更生施設施設見学が都合により未実施になったため、専門家に対する謝金やインタビュー逐語録の業者委託費、旅費などが未使用になったのが主な理由である。 次年度は延期になった上記専門家を対象としたフォーカスグループインタビュー、および入所更生施設見学を実施に向けて、使用を計画している。
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