2020 Fiscal Year Research-status Report
再犯防止指導実施者の心理学的介入スキルを規定する要因の検討とトレーニング法の開発
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19K14429
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
野村 和孝 早稲田大学, 人間科学学術院, 講師(任期付) (60758192)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 再犯防止指導 / 指導者育成 / 心理学的介入スキル / 認知行動療法 / 多職種連携 |
Outline of Annual Research Achievements |
わが国の再犯防止を目的とした心理学的介入プログラムは,再犯防止指導実施者の育成が課題とされている。心理学的介入プログラムにおいて再犯防止指導実施者は対象者と協同的な関係性を築くことが求められる一方で,協同的な立場と管理的な立場との間で「役割葛藤」を抱いてしまうこと,また「社会的望ましさ」から対象者の社会適応に「抵抗」を感じてしまうことなどの心理社会的要因が影響し,心理学的介入スキルの遂行が妨害されてしまうことがある。 そのため,再犯防止指導の効果性を高めるためには,再犯防止指導実施者の心理社会的要因の個人差に応じた新たなトレーニング法の開発が急務である。 そこで本研究では,再犯防止指導実施者の心理学的介入スキルを規定する心理社会的要因の検討と心理社会的要因の個人差に応じたトレーニング法の開発を目的とする。 令和2年度は,実施者の心理学的介入スキルを規定する心理社会的要因を明らかにするために,研究機関と研究実施先機関の研究実施体制(共同研究協定)の下に実施した455名を対象とした質問紙調査の解析と研究発表(日本犯罪心理学会第58回大会など)を行った。 主な結果として,対象者,職場環境,職務待遇,そして自身の生活に指導者の葛藤が生じること,職務環境が指導者の葛藤に影響すること,そして自分への優しさ,自己犠牲規範意識,そして対象者に抱く不快感情などの心理的要因がスキルの遂行を妨害していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の進捗として,455名を対象とした質問紙調査の解析と研究発表を行い,調査研究の「データ収集、データ解析、研究発表、および研究報告」をおおむね完了している状況にあることから,令和2年度は予定通りの進捗にあり,おおむね順調に進展していると言える。 なお,実験研究の実施については,研究機関と研究実施先機関の研究実施体制(共同研究協定の締結など)の下に調整を行なっており,令和3年度と令和4年度でトレーニング法の開発と十分なデータ数の収集を目指しており,本研究課題を十分に達成可能な状況にあると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題の今後の推進方策については,「実験研究の実施」,「データ解析」,および「研究発表」を予定しており,調査研究の結果に基づくトレーニング方法の開発と効果検証に着手する予定である。令和2年度実績として予定通りの進捗にあり,おおむね順調に進展しているため,令和3年度においても当初の予定通りの推進方策で十分に対応可能であると考えられる。
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Research Products
(7 results)