2020 Fiscal Year Research-status Report
箱庭療法の治癒機制に関する実証的研究―異物との関わりに生じる心的プロセスから
Project/Area Number |
19K14442
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
地井 和也 茨城大学, 教育学研究科, 講師 (10826811)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 箱庭療法 / 異物 / イメージ変容 / 治癒機制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,箱庭療法の治癒機制の本質を明らかにし,また, それに付随して,人が自我異和的な心的対象である「異物」との日常的遭遇により生じる心理的課題を解消していくプロセスを明らかにすることを目的としている。この目的を達成するために,箱庭によるイメージ表現によって生じる心理的変化の対象を「今の自分には受け入れがたいと感じるアイテム」に投影するネガティブイメージに限定し,参加者を以下の3群に分け,受け入れがたいアイテムのイメージや受け入れがたさの 変化を測定した量的データ,及び半構造化面接により得た質的データを群間で比較することを計画した。 条件1:受け入れがたいアイテムに加え複数のアイテムを自由に使用する条件 条件2:受け入れがたいアイテムのみ使用する条件 条件3:受け入れがたいアイテムを使用せずに他のアイテムで自由に制作する統制条件 2020年度は,上記の計画に加えて,参加者にさらに数回の継続的な箱庭制作を依頼し,通常の箱庭療法と近い設定による継時的な変化を観察する調査研究の分析に着手した。具体的には,参加者3名に対するそれぞれ4回ずつの箱庭制作とインタビューデータ,および4回分の箱庭制作を振り返るセッションにおけるインタビューデータについて,逐語データを作成し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる分析に着手した。 なお,日本ユング心理学会大会や日本箱庭療法学会大会での資料収集や研究成果の発表を計画していたが,新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う大会の中止・延期により,次年度に延期することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症対策に伴う教育業務の負担増大により,研究が滞りがちとなり,また研究成果を発表する予定であった学会大会の中止・延期が重なったため,研究成果のまとめと発表は次年度に持ち越すこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の3条件による実験における量的データの分析結果,および質的データの分析結果について引き続き論文の執筆を進め,次年度中に投稿する。 また,複数回の箱庭制作による継時的な変化を観察する調査研究の計画についても,得られたデータについて,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる質的分析を進め,論文を完成させる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症対策のために各種学会大会が中止・延期となり,資料収集や研究成果の発表が次年度にずれ込んだためである。次年度は主に上記の費用として使用する予定である。
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