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2020 Fiscal Year Research-status Report

高ストレス状況下における心の可視化情報の有用性探索と予防教育への応用

Research Project

Project/Area Number 19K14448
Research InstitutionNara Women's University

Principal Investigator

加藤 奈奈子  奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (40583117)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2022-03-31
Keywordsこころの可視化 / 内田クレぺリン精神検査 / 過統制 / 視線分析
Outline of Annual Research Achievements

1.内田クレペリン精神検査事例と質問紙との関連検討
作業量を可視できる内田クレぺリン精神検査を用い、平均作業量から算出した「定型曲線」をベースとする理論的作業量とのズレの値であるPF値と性格の3特性(発動性、可変性、亢進性)に着目して事例検討を行った。先行して行った調査事例(研究課題15K13151)の中から2例選出し最もPF値が大きく、作業量を無理に一定にするなど亢進性の過度が認められたPOMSの結果は疲労感はさほど強くないものであり行動面に現れた疲労を補おうとする行動と質問紙による主観的な気分評価とは連動しない結果となった。また、作業水準を維持しようとする「調整」行動のパーソナリティ要因として、ストレス時に「計画」などの対処を行うことやバランスのとれた自我状態を持っているなど意識的な面でのバランスの重視や能動的な統制を思わせる結果が得られた。これらのことから行動を能動的に調節する要因が関連し、本来自然に表出されるはずの疲労感を抑制している可能性が示唆された。これらの成果は、学会のシンポジウムにて発表を行った。
2.内田クレぺリン精神検査中の視線と着目点の抽出
先述した「調整」が検査中にどのようになされるかを把握するため、1名を対象に予備調査を行った。予備調査では、心電図を装着し心拍を測定することで検査中の生理的な評価とテスト後に語られた内観との関連性の検討を試みた。理論作業量との偏差が大きかった時点の視線分析と照合した結果、内観で延べられていた「遠近の切り替え」が複数回見られた。また滑らかに横に滑るような視線の動きではなく小刻みに視点が定まらない「上下の揺れ」および視点が今ある数字よりも前の作業量に移動する「目標値の確認」などの動きが見られた。本調査に向けて着目点の抽出を行い、さらに呼吸も測定することで心拍変動についても扱うという形でデザインを修正した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

1.調査実施の遅れ
調査実施にあたり、当初は大学生を対象とした質問紙調査および対面で心電図や視線分析カメラを装着しての調査を行う予定にしていたが、新型コロナウイルス感染症の影響により協力者となる学生の構内への入構禁止など協力者を確保できなかったことや対面での調査の実施にあたり、感染症対策などの準備が十分でなかったという2点より調査が実施できない事態となった。また代替としてオンライン調査も予定はしていたが、自粛期間などタイミングが折り合わなかったこと、調査デザインの精査が不十分であったことから調査することができなかった。一方でこれまでの調査結果の再分析をし一定の結果が得られそれをもとに学会発表したこと、連携協力者とともに論文の一部を分担執筆しこれまでの研究成果をまとめ発表したこと等、厳しい状況下でも「やや遅れている」にとどめることができたのではないかと考えている。

2.国際学会の中止および延期
世界的な新型コロナウイルス感染症の流行により、参加を予定していた国際学会2つが中止となり当初計画していた学会での発表ができなくなったことにより成果を発表し精緻化する作業ができなかったことが挙げられる。国内学会にて成果を発表したが、これまでの調査を発表するに留まっておりまだ分析が必要な点が残されている。調査実施が遅れていることと合わせてこうした学会延期の影響により、本研究の知見を公表するという段階には至っておらず来年度に実施する予定である。

Strategy for Future Research Activity

1.感染症対策を講じた上での対面調査実施
今年度行うことができなかった調査について対面での調査を行う予定であるが、新型コロナウイルス感染症第4波の影響が強いこともあり、今後もさらなる感染症対策を講じる必要がある。場合によっては対面という調査デザインを変更することも求められる可能性もあり協力者が一人の状況でも行うことができるような教示の仕方など課題の提示を変更する必要もあるかと思われる。
2.オンラインでの学会発表
昨年度延期された学会の中にはオンライン、オフラインのハイブリッドでの学会実施を行うところがある。オンラインでの学会発表に参加し最新の知見を得ることとともに、その結果をもとに研究を論文化するということを行う予定である。
3.新型コロナウイルス感染症に対するメンタルヘルス維持についての情報収集
本研究の目的として、閉鎖環境下におけるメンタルヘルス維持に役立つ可視化情報についての知見をまとめるというものがあった。現在世界的に流行している感染症においては、個人のメンタルヘルスの維持のため様々な可視化情報を利用している状況が散見された。こうした情報を収集し、感染状況や社会状況と照合しながら場合によってはオンライン調査の実施も視野にいれ研究活動を推進し、本研究の目的であった閉鎖環境におけるメンタルヘルス維持の予防的な視点について考察する。

Causes of Carryover

1.使用額変更の理由:先述したように新型コロナウイルス感染症の影響で、調査協力者を集めることと感染症対策を講じた上での対面での調査の実施が難しい状況で調査実施を延期するにいたった。そのため当初予定していた調査を行うための人件費等を使用することができなかった。また視線分析カメラについては、本大学で所持されているより性能がいいものを借用することができたことから購入にいたらなかった。さらに、参加予定であった2つの国際学会への旅費・参加費についても学会の中止・延期に伴い使用することがなかったこと、連携研究者との話し合いはZoom等オンラインで行われることになったため国内旅費を使用しなかったことが影響しほとんど支出していない状況であった。
2.次年度使用計画:次年度は今年度実施しなかった調査を感染症対策を講じた上で行う予定であり、人件費および感染症対策のための備品およびオンライン環境の整備のための備品を購入する。またオンラインで実施される国際学会への参加費および英文校閲費、さらに研究計画の変更に合わせて感染症や閉鎖環境におけるメンタルヘルスについての資料を購入予定である。さらに研究の遂行状況によってはオンラインでの調査も行う可能性もありその経費として支出する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2021 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Human change and adaptation in Antarctica: Psychological research on Antarctic wintering-over at Syowa station2021

    • Author(s)
      Kuwabara Tomoko、Naruiwa Nobuo、Kawabe Tetsuya、Kato Nanako、Sasaki Asako、Ikeda Atsushi、Otani Shinji、Imura Satoshi、Watanabe Kentaro、Ohno Giichiro
    • Journal Title

      International Journal of Circumpolar Health

      Volume: 80 Pages: 1886704~1886704

    • DOI

      10.1080/22423982.2021.1886704

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 閉鎖環境下において活きる「こころ」2020

    • Author(s)
      加藤奈奈子
    • Organizer
      第59回日本生気象学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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