2019 Fiscal Year Research-status Report
乳がん患者のうつ病へ包括的に介入する対人関係療法の開発と効果検証
Project/Area Number |
19K14452
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
利重 裕子 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (70813848)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 対人関係療法 / うつ病 / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国では乳がんの罹患率は急速に増加し、うつ病の併存率は高いが、乳がん患者のうつ病に対する確立された標準的な治療は存在しない。我々は、乳がん患者のうつ病に影響を与える「満たされないニード(患者が求めている援助)」の多くが、情報・心理領域の2つであること、すなわち「乳がんに関する情報提供の不足」と「家族や医療者からの心理的サポートの不足」であることを研究にて示した。さらに、この2つはうつ病の思考力低下・自責感などと相互作用して、うつ病をさらに増悪させることを我々は臨床経験より見出した。本研究では、対人関係療法に情報提供を加え、「1.乳がんに関する情報提供 2.家族や医療者からの心理的サポートの確立 3.うつ病治療」を行う包括的な治療である、修正版対人関係療法マニュアルを開発し、その効果検証を行う。
対人関係療法のメカニズム研究は少ないため、対人関係療法の有効性が確立されたうつ病患者に対して治療者4名で対人関係療法を施行し、その治療終結期に主観的変化として記載された調査結果について質的手法でまとめ、2019年度の国際学会にて発表した。また、うつ病に罹患した乳がん患者2名に対して対人関係療法および対人関係療法的アプローチを施行し、修正版対人関係療法マニュアル開発に向けて、修正すべき点の整理を行った。上記を踏まえて、対象患者について研究協力者と協議を行った結果、乳がん患者に限らず、それ以外の身体疾患を有する患者および亡くなられた患者の遺族におけるうつ病や抑うつ状態に対しても、対人関係療法を修正することで症状改善が望める可能性があると考えた。その結果、対象者を乳がん患者以外にも広げる予定とし、現在倫理審査委員会への申請書を作成中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
倫理審査委員会への申請書を作成中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究プロトコルを作成し、倫理審査委員会の承認を得る。
|
Causes of Carryover |
コロナウィルスの影響で中止となった研修会や学会に参加するために必要だった費用を繰り越すこととなった。次年度は研究に必要な知識を得るための研修会参加費用や研究を実施をするうえで必要となる人件費などに使用する予定である。
|
Research Products
(1 results)