2019 Fiscal Year Research-status Report
ロールシャッハ・テストと唾液中ストレスバイオマーカーによるARMSの同定法の検討
Project/Area Number |
19K14455
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
岸本 直子 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (90596743)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 統合失調症 / ARMS / ロールシャッハ・テスト / 唾液 |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症の発病前には精神病発症危機状態(At-Risk Mental State:ARMS)と呼ばれる期間が存在し、この時期に統合失調症を先で発症する人をいかに正確に同定するかが鍵になる。なぜなら統合失調症患者の多くが、慢性的な経過を辿り日常生活や社会機能が障害されるために、発症予防や早期介入の重要性が指摘されているからである。しかし、ARMSを正確に判断できる客観的な評価方法や生化学的バイオマーカーは存在しない。そこで本研究では、精神病の鑑別にしばしば用いられる投影法の心理検査の1つであるロールシャッハ・テストを用いて、ARMS患者特有の人格特性を明らかにし、その心理特性と他の精神症状の臨床的評価尺度や唾液中のストレスバイオマーカーとの関連性を検討する。本研究の成果から、ARMSへのロールシャッハ・テストの重要性を確立し、診断的バイオマーカーの創発に役立てようとするものである。奈良県立医科大学精神科へ通院中あるいは過去の診療録から患者背景を詳細に調査し、精神病の症状評価に用いられるPANSS(Positive and Negative Syndrome Scale)、認知機能評価に用いられる統合失調症認知機能評価尺度日本語版をSIPS/SOPS評価に加えて評定する。健常対照についても、対象者の背景を調査する。全例にロールシャッハ・テストを施行し、唾液の採取も行う。研究参加に同意の得られたARMSに該当する者に対し、ロールシャッハ・テストおよび唾液採取を行い、対象を増やしている。当該年度において、ARMS群20名のうち、発症例と非発症例のロールシャッハ・テストの異同について国際学会にて報告した。また、本研究の予備的調査として、ARMS群5名と健常群5名にロールシャッハ・テストを施行し、両群のスコアを比較検討した。その結果について、国内学会にて報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
通常診療および過去の診療録に基づいて、対象者を選定し、研究参加へのリクルートを継続して行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
ARMSと統合失調症患者、健常対照者を対象とし、引き続き、研究への参加をリクルートする。同意の得られた全例においてロールシャッハ・テストを実施する。また過去の診療録から患者背景を詳細に調査し、精神病の症状評価に用いられるPANSS(Positive and Negative Syndrome Scale)、認知機能評価に用いられる統合失調症認知機能評価尺度日本語版をSIPS/SOPS評価に加えて評定する。健常対照についても、対象者の背景を調査する。加えて、唾液の採取も行う。対象者のうち、ARMSについては、毎月精神症状を評価し、6ヶ月毎に唾液採取を継続して行っていく。
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Causes of Carryover |
研究対象者の組み入れ時期が当初の予定より遅延したため。
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Research Products
(2 results)