2023 Fiscal Year Annual Research Report
ロールシャッハ・テストと唾液中ストレスバイオマーカーによるARMSの同定法の検討
Project/Area Number |
19K14455
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
岸本 直子 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (90596743)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 統合失調症 / At Risk Mental State / ロールシャッハ・テスト / 唾液 / コルチゾール |
Outline of Annual Research Achievements |
統合失調症は思春期に好発し、発症後は多くの患者が慢性的な経過をたどる難治性の精神疾患である。近年、数々の研究から統合失調症の治療臨界期が提唱されるようになり、発症予防や早期介入の重要性が指摘されている。疫学的には幻覚や妄想などの明らかな陽性症状が出現する数年前から、認知機能の低下や社会機能の低下、陰性症状を前景とした発病前にみられる「前駆状態」と呼ばれる期間が存在することがわかっており、前駆期の前方視的な概念として精神病発症危機状態(At-Risk Mental State:以下ARMS)の存在が提唱されている。ARMSの同定は現在のところ、本人の訴える内容に基づく半構造化面接が用いられているが、その精度を高めるために心理査定法の1つであるロールシャッハ・テストによる検討に加え、生化学的指標として唾液中の成分分析を行った。 対象は奈良県立医科大学附属病院精神科を受診し,SIPS/SOPSでARMSと判断された20名とDSM-5で初発SZと診断された20名で、日常診療で既に行っている包括システムに準拠して施行したロールシャッハ・テストを後方視的に調査し,ロールシャッハ変数の比較を行った。ARMS群は統合失調症群と比較して、有意に全体反応が少ないことが示された。全体反応は努力をしなくても全体が知覚できる比較的単純な反応であり、複雑なころを避け、統合力や分析力の乏しさを示しており,ARMSと比べ,統合失調症ではより単純な物の見方をする傾向が示唆された。さらに、ARMS群のうち、同意の得られた13名と健常者10名の唾液を採取し、唾液中のコルチゾール、CRP、IL-1β、IL-6、オキシトシンについて比較を行ったところ、コルチゾールのみで有意差を認めた。健常群と比べて、ARMS群ではストレス脆弱性が高い可能性が示唆された。
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Remarks |
研究成果について、論文投稿の準備中である。
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