2020 Fiscal Year Research-status Report
R-PASを用いた減弱精神病症候群(APS)の病態の解明
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19K14457
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
井上 直美 帝京平成大学, 臨床心理学研究科, 准教授 (50815917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | R-PAS / R-PAS-PD / 減弱精神病症候群(APS) / 精神病状態 / ロールシャッハ・テスト |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間2年目の本年度は,新規データの取得はいったん見合わせ,米国のR-PAS研究チームによって提唱された新型コロナウイルス感染拡大防止のための「身体的距離を保ったR-PAS(R-PAS-PD)」の実施方法に関する検証を行った。 第1の研究として,昨年度,通常のR-PASの実施方法によってベースラインのデータを取得した健常ボランティア群の1名に対して,第2次評価時点のデータをR-PAS-PDの実施方法により取得した。結果の比較からは,パーソナリティ機能の主要特性に関わる変数においては変化が小さく,実施方法が異なったとしても,安定した結果が得られることが示唆された。一方,感情や認知に関わる変数については,1標準偏差(15標準得点)以上の大きな変化が認められたものも存在した。本研究からは,実施方法の違いによる影響と,継時的変化による影響の区別は明らかではないものの,信頼性の高さが要求される研究データの取得に際しては,通常のR-PASの実施方法にしたがった方がよいと考えられた。その後,研究登録された被検者に対しては,通常のR-PASの実施方法によりデータを取得した。また,本研究の結果については,2021年3月にオンライン上で開催された国際学会(SPA学会)において公表した。 第2の研究として,昨年度,R-PAS-PDの実施方法によってデータを取得した健常ボランティア群の5名に対して,第2次評価時点のアセスメントを通常のR-PASの実施方法によって行った。結果からは,第1の研究と同様に,パーソナリティ機能の主要特性に関わる変数に関しては,実施方法が異なったとしても,変化が極めて小さいことが示唆された。現在,結果についての詳細な解析を行い,論文化を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
諸外国における調査結果からも,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,対面による道具を用いた心理検査の実施を中止している機関が過半数であり,米国の研究チームによって提唱された新型コロナウイルス感染拡大防止のための特別な実施方法に関しても,結果データに及ぼす影響については不明である。そこで,本研究においては,いったん新規データの取得を中止し,検査の実施方法の変更に伴う影響について,検証を行う方針としたため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き新型コロナウイルス感染拡大防止に細心の注意を払いつつ,通常のR-PASの実施方法により,対面にてデータ収集を行っていく。また,既存のデータを用いた二次解析を実施するための研究倫理審査を現在,データ取得先機関に申請中であり,評価尺度に関する基礎的な研究を重点的に行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
2つの国際学会における研究発表を予定していたが,1件は中止となり,もう1件はオンラインによる開催となったため,学会参加費および旅費に関して次年度使用額が生じた。次年度の国際学会に関しては,未だ開催予定が明らかではないが,対面による開催が決定されれば,その参加費用・旅費に使用する予定である。
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