2021 Fiscal Year Research-status Report
investigation into processing of temporal relationship between motor actions and sensory signals
Project/Area Number |
19K14470
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻田 匡葵 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任研究員 (90839036)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 時間再較正 / 同時性判断 / 時間順序判断 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度では,時間的な判断の違いが身体運動と感覚との間で生じる時間再較正にどのような影響を及ぼすのかを検討した。時間順序判断(どちらが前・後だったか)の場合には身体運動-感覚間時間再較正が無意識的に生じず,順応時の時間差に気づいた時にのみ生じることが申請者の先行研究ですでに明らかになっていた。しかし,同時性判断(同時だったか否か)の場合にも同様の傾向が見られるのかは十分に明らかにされていなかった。そこで,今年度の実験では,実験参加者に同時性判断あるいは時間順序判断のどちらかを用いた時間再較正実験を行わせて,2つの判断で一貫した傾向が見られるのか,それとも異なる結果(同時性判断の場合は時間順序判断と違って無意識的に生じる)が見られるのかを検討した。 40名が実験に参加した。時間順序判断と同時性判断のどちらを用いて時間再較正実験を行うのかは参加者間でランダムに割り振られた。時間再較正実験では,キーボードのキーを6回一定のテンポで押すように教示した。1-4回目のキー押しでは順応刺激として一定の遅延を伴った視覚的フラッシュを呈示した。6回目のキー押しでは,テスト刺激として視覚的フラッシュをランダムなタイミングで呈示した。実験参加者は自身の6回目のキー押しとテスト刺激に対して時間的な判断(時間順序判断あるいは同時性判断)を求められた。時間差に対する気付きの影響を検討するために,時間再較正実験は2つのブロック(1ブロックにつき160試行)に分けられた。1つ目のブロックでは,順応刺激の遅延に気づき難くするために,遅延を40試行毎に40ミリ秒増加させた。2つ目のブロックでは,遅延に気づき易くするために,80試行毎に200ミリ秒増加させた。 現在実験を実施したところまで終了しており,今後実験データの分析を詳細に行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行の影響により,実験室で実験を行うのが困難な状況が続いていたため,計画していた実験のほとんどを行うことができなかった。令和3年度になって,感染者数が少ない時期を見計らって実験を行うことが可能な時期もやっと見られるようになったが,感染者数のリバウンドによって中止せざるをえない状況になったりと,十分に研究を遂行できるとは未だに言い難い1年だった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで新型コロナウイルス感染症の流行の影響でずっと研究が進まない状況が続いているが,年々制限が緩和されてきているので,令和4年度は昨年度よりも実験を実施することができるものと期待している。令和3年度に行った実験の分析を進め,その結果をもとに感覚減衰という現象と時間再較正とを絡めた実験を実施する計画である。その実験の成果が得られ次第,学会発表や論文の投稿なども行っていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行の影響によって十分な実験の実施ができなかった。それに伴って十分な研究成果も出せていないため,国際学会や国内学会の参加や論文の投稿なども行うことができなかった。これらの理由により計画通りの研究費の使用が行えず,次年度へと研究費を繰り越す形となった。 次年度は実験を行って十分に研究成果が出せるように,新型コロナウイルス感染症の流行の状況を丁寧にチェックして,実験計画を柔軟に進められるように努める予定である。
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