2019 Fiscal Year Research-status Report
時間的階層構造を捉える予測的学習のニューラルネットワークモデリング
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19K14471
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 真孝 京都大学, こころの未来研究センター, 特定助教 (40838398)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニューラルネットワークモデリング / 予測的学習 / 系列学習 / 感情 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はニューラルネットワークモデリングとして、海馬モデルを統計的学習の幅広い現象に適応することを行なった。具体的には、推移確率の学習の単語頻度学習との分離(Aslin et al., 1998)、非隣接推移の確率学習(Frost & Monaghan, 2016)、埋め込みペアの学習(をしないこと; Giroux & Rey, 2009)、学習単語数の効果(Frank et al, 2010)、に対してこれら現象をモデルがシミュレートできることを示した。これらは人間の統計的学習のベンチマーク現象であり、それを海馬モデルがシミュレートできたことは、このモデルの一般性を示している。 また、感情経験における予測と予測誤差の役割を検討するために、Awe感情経験についての研究も並行して行なった。何か壮大さや強大さを感じで、日々の生活からの予測・理解を超えるような経験がAwe経験であるが、このような経験として、2019年10月に甚大な被害をもたらした台風19号の経験について尋ねる研究を行った。この研究では、台風について考えると、Awe感情を感じやすく、それが日々の当たり前の暮らしや人とのつながりの大切さを再評価することにつながることで幸福に結びつく可能性が示された。 Awe経験によって予測を超えるようなことを経験した時、その意味や解釈はこれまで経験してきた文化の影響を受けると考えられる。そこで文化比較研究を行なった。自然に対するAweを喚起する様々な種類の動画を、日本人及びアメリカ人に呈示してそこでの感情を尋ねた。すると、これまでの文化比較研究と一致して、同じ動画(例:竜巻)であっても日本人の方がネガティブ感情を喚起されやすいということが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニューラルネットワークモデリングに関しては、推移確率の学習の単語頻度学習との分離(Aslin et al., 1998)、非隣接推移の確率学習(Frost & Monaghan, 2016)、埋め込みペアの学習(をしないこと; Giroux & Rey, 2009)、学習単語数の効果(Frank et al, 2010)という幅広い現象のシミュレーションを追加することができ、順調に進んでいるといえる。また、系列再生課題において示されている、再生エラーの勾配(正解位置と近い位置で間違って再生されやすい)についてもシミュレーションを試みたがこちらはシミュレーションが成功しておらず今後の課題となっている。 Awe感情経験の研究は、当初の予定どおりシミュレーションよりも調査・実験を中心に行なっているが、実際のAwe経験(台風)を調査しつつ、実験的にAweを喚起することで文化差を示せたことは大きな進捗である。さらに様々な動画刺激について感情評定という特性値を得られたことにより、今後の行動実験・認知神経科学実験を行う上で土台となる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス流行にかかる社会状況を適切に考慮しながら研究を推進する。ニューラルネットワークモデリングに関しては、新型コロナウィルス流行の影響を最小限にして推進することが可能である。特に、系列再生課題の現象のシミュレーションを拡大する方向で進める。ただし、現状の海馬モデルだけではシミュレーションできない可能性も考慮しつつ、皮質系のモデルを加える可能性も探る。 Awe経験に関する研究は、調査・実験が中心となるが、オンライン調査・実験を中心的に用いることで、人と人が接触しない形で調査・実験を進める。実際本年度の調査・実験はオンラインで行われており、次年度以降も可能である。 さらに、状況が許せばfMRIを用いてAweの脳内表現をその変動性も含めて検討する。当初は画像を用いてAweを喚起し脳波を測定することを予定していた。しかし動画刺激を用いることでAweを強力に喚起できることが判明し、また感情評定等の動画特性を得ることができた。画像を用いて高時間解像度で測定できる脳波よりも、もともと時間解像度が高くなく空間解像度の高い、動画使用と比較的相性がいいMRIを用いる予定である。 また、すでに収集したデータを論文化するなど、新型コロナウィルス流行の影響を最小限にして推進できることを積極的に進める。
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Causes of Carryover |
ほぼ当初予定通り使い切ったが、残高を0円とする事務処理のコストにかかる成果が得られる見込みがなかったため次年度に繰越した。次年度に当初計画通りに執行する。
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Research Products
(4 results)