2020 Fiscal Year Research-status Report
時間的階層構造を捉える予測的学習のニューラルネットワークモデリング
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19K14471
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 真孝 京都大学, こころの未来研究センター, 特定助教 (40838398)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 感情 / 新型コロナウィルス / 災害 / 畏怖・畏敬 / 予測 / 不確実性 / 幸福感 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は新型コロナウィルス感染症流行を考慮し、対面での実験を自粛し、前年度収集したデータの論文化に注力した。 特に、新型コロナウィルスは人々にとって予想し得ない出来事かつ、無症状の人からも感染拡大が起こるという非常に不確実かつ脅威となる状況を作り出すものである。このことは、本研究が対象としていたAwe(畏怖・畏敬)感情を喚起する特徴を備えており、その観点から調査と分析、そしてその論文化を進めた。調査は台風19号直後(2019年)及び新型コロナウィルス流行初期(2020年2月)に行い、それらに対するAwe感情がどのような帰結を生むか検討した。 結果として、Awe感情を普段から感じやすい個人は、台風やコロナについてよく考える傾向にあり、台風やコロナについてよく考える個人は「日々の当たり前の暮らしがとても重要で幸福だと感じる」「家族や友人とのつながりを大切にしたいと思う」「自分よりも困難な状況にある人のことを考えればある程度の我慢は仕方ないと思う」などの自己超越的価値を見出し、その結果むしろ幸福を感じていることが示された。また、実験的に台風やコロナについて考えることを求められた群は統制群と比較して、Awe感情を感じ、その体験に何かしらの意味を見出し、それが自己超越的価値と幸福につながっていることが示唆された。 このような傾向は東日本大震災直後でも見られたことである。またこれまで先行研究がAweによって自己超越的価値や幸福感が高まることを示して来たこととも一致する。流行初期の結果であるという限界点はあるものの、新型コロナウィルス感染症あるいは災害一般とどう向き合うか一つの観点を提示すると考えられる。 研究内容は論文化し国際誌にて査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症流行により、当初予定していた研究・実験を進行することができなかったものの、むしろ本研究課題が目的としていた、Awe感情(予想外で強大・壮大なことが起こった時の感情)のあり方を解明するという観点から、新型コロナウィルスに対する人々の感情反応を検討することができた。さらに、そこで明らかとなったことは社会に対する提言も可能なものであり、総合すれば順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず現在査読中の論文の掲載を目指す。 その後、感染状況を見ながら、新型コロナウィルスへのawe感情あるいはawe感情一般の神経基盤を検討するfMRI実験を行う予定である。 並行して、系列情報処理のニューラルネットワークモデリング及び行動実験を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は対面実験や学会参加を自粛し、論文執筆に注力したため、追加の研究費を使用しなかった。
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Research Products
(5 results)