2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigating the unit of language acquisition: young children's chunk-based learning of Japanese verb predicates
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19K14474
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
巽 智子 神戸大学, 国際文化学研究科, 講師 (60837988)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 言語習得 / コーパス / 心理言語学 / 日本語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究計画の「研究1:チャンク学習モデルを用いた言語データ解析」に関して、言語習得コーパス(CHILDES database, MacWhinney 2000) の分析を行い、論文を執筆、投稿した。コーパスに収録される日本語の幼児と保護者の自然会話データを用いて、これらの話者がどのように日本語の動詞形式を繰り返すかをコーディングし、その上で非線形モデルを用いた統計解析を行った。繰り返しのパターンには発達上の変化が見られ、これを言語習得理論に照らし合わせて考察して1本の論文を書き上げた。この論文は、現在学術誌に投稿済みで、査読が行われている。なお、この研究についてのプレゼンテーションを2021年7月の国際学会(International Association for the Study of Child Language)にて行うことが決定している(本来2020年開催予定が2021年に延期された)。 また、このコーパス研究の手法を用い、関連テーマを扱う別の研究を計画・作業開始しており、2021年度にも継続して研究を行う予定である。 研究計画の「研究2:動詞述語チャンクの繰り返し言語産出実験」については、2019年度に実施した分の実験のデータの分析は終えているものの、その後幼児を対象とした対面での実験継続が難しくなったことから、中断している状況である。 研究計画の形態構造プライミング実験については、対面ではなくオンライン実験として行う方法を現在検討中で、大人の被験者を対象としたパイロット実験を近日中に計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体としての進捗状況は、大きな問題は無いと考えている。ただ、コロナ禍によって実験実施が困難な状況があり、研究実施の順序や内容を若干変更して進めている。特に、幼児などを対象とする対面での実験実施は昨年度から行っておらず、その代わりにコーパスを使用した研究に重点を移している。 一方、2020年度に予定していた学会発表が2件あったが、両学会とも中止となり、2021年度に延期された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は、CHILDESデータベースのコーパスを用いた解析研究を行うほか、対面実験の代わりにオンライン実験を計画している。コーパス研究では、当初の研究計画の対象である動詞形式の他に、異なる文法形式も対象として研究を行う予定である。またオンライン実験については、大人の被験者を対象とした言語産出実験を行い、データ収集を開始する予定である。
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Causes of Carryover |
特に幼稚園や保育園などでの対面で行う実験が中断されており、それに伴う人件費や謝金の支払いが無くなった。また、国際学会および国内学会がそれぞれ1件ずつ中止されたことにより、旅費の支出が無くなったことが挙げられる。 2021年度は、プログラミングや分析についての人件費の支出が予定されている。一方、国際学会への渡航を含む参加については、今後も見通しが立っていない。
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