2019 Fiscal Year Research-status Report
意識的知覚を支えるフィードバック視覚処理の初期発達過程の解明
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19K14479
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
中島 悠介 中央大学, 文学部, 特別研究員 (50778686)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | マスキング / 意識 / フィードバック / 乳児 / 発達 / 実験心理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚情報処理において,低次から高次の脳領域へ情報が流れるフィードフォワード処理だけでなく,逆の流れであるフィードバック処理が重要な役割を果たしていると近年考えられている。しかし,フィードバック処理の機能については未だ詳細が明らかになっておらず,その発達過程については殆ど検討されていない。本研究は,乳児を対象に,フィードバック処理が関わるとされるオブジェクト置き換えマスキング現象を用いて,フィードフォワード,フィードバック処理の初期発達過程を検討することを目的としている。 本年度は,生後3-8ヶ月児の乳児を対象に,オブジェクト置き換えマスキングを用いた行動実験を実施した。その結果,7-8ヶ月児ではマスキングが生じるが,3-6ヶ月児では生じないことが明らかになった。さらに,6ヶ月以下の乳児では,7-8ヶ月児がマスキングによって知覚できなくなる刺激を知覚できていることが示された。解剖学的研究から,低月齢の乳児ではフィードバック結合が未発達であることが報告されている。本研究の結果はこの知見と一致しており,6ヶ月以下の低月齢の乳児では,フィードバックを含むrecurrent loopが未発達で,フィードフォワード主体で視覚処理を行っていることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定していた実験は概ね完了し,学会において研究成果の発表も行った。また,国際誌への論文投稿の準備も進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は,今年度得られた研究成果を国際誌に論文として発表する予定である。また,今回の研究成果をさらに発展させるために,新たな実験を開始する。
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Causes of Carryover |
実験設備構築のための機器類の費用が当初予定していたよりも抑えられたため。 次年度は新たな実験計画に合わせた実験環境の構築のために使用する予定である。
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Research Products
(2 results)