2019 Fiscal Year Research-status Report
Experimental analysis of the relationship between form and function of operant behavior
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19K14480
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
古野 公紀 帝京大学, 文学部, 助手 (60533578)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 強化スケジュール / オペラント行動 / 空間的特性 / ベイズ統計モデリング / ハト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「行動の形態と機能に関する実験的分析 -形成と変容過程-」という課題名のもと,ヒトおよびその他の動物の行動における様々な物理的特性を測定し,環境の変化によってこれらがどのように変化するのか,という点を明らかにすることを目指している。そのために,1)従来の研究で多用されてきた強化スケジュールにおけるオペラント行動の様々な物理的次元の特徴を明らかにすること,2)それらの行動次元を予測する定量的モデ ルを構築すること,の2つを目的とした。具体的には,ハトおよびヒトの操作体に対するオペラント行動の位置や距離,および操作体に向かうまでの動きの軌跡など,主に空間的な次元を解析する。さらに得られたデータに基づき,ベイズ的アプローチによる数理モデルを構築する。 以上の目的のもと,2019年度ではハトを対象に4つの基本強化スケジュール(固定比率,変動比率,固定時隔,変動時隔)がハトのキーつつき反応における位置という物理的特性に及ぼす効果を検証すべく実験を行った。本実験では主に反応位置の変動性2焦点を当て,ベイズ的モデルによる分析を行った。その結果,比率スケジュールよりも時隔スケジュールのほうが高い変動性をもたらすこと,および変動スケジュールよりも固定スケジュールのほうが高い変動性をもたらすことを示した(Kono & Tanno, 2020)。すなわち,本実験結果は強化スケジュールがオペラント行動の空間的特性に対して系統的な効果をもたらすことを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度の研究において,基本となる強化スケジュール下でのハトのつつき反応における位置の変動性についてベイズモデルによる定量的分析を行った。「研究実績の概要」で述べたように,反応位置の変動性は強化スケジュールにより系統的な制御を受けることが示された。これらの成果についてはBehavioural Processes誌にも掲載された。その一方で,この実験で使用された強化スケジュールの設定値の範囲が狭いなどの問題点もあったため,スケジュール設定値を5種類に増やし,さらに反応位置と反応間間隔などの時間的特性との関連性を検討する実験を行っている。この実験については9割を終えている状況であり,データの一部は日本基礎心理学会第38回大会で報告した。現在は,行動の形態(例えば操作体に向かう動き)を測定するためのビデオトラッキングシステムを構築中であり,2020年度中の実験開始を目指している。 以上のように,当初予定していた実験および今後行う実験の環境構築は概ね順調に進行していることから,この評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に終了した実験および現在継続中の実験結果を統合し,強化スケジュールがハトの反応位置における変動性に及ぼす効果について総合的な結論を導き出す。2020年度前半で、この成果の論文化に取り組み、海外学術雑誌への投稿を目指す。合わせて,種々の強化スケジュールにおけるハトの行動の形態を測定するための実験を行うため,ビデオトラッキングシステムの構築を急ぎ,2020年度前半の開始を目指す。
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Causes of Carryover |
実験が予定よりも早く進行したため,2020年度に行う予定であった実験用のシステム構築のため前倒し支払い申請を行ったものの,異動のためにシステム構築がかなわず,そのために使用するつもりであった費用の分,使用額に差が生じた。この残額は当初の予定通りに,2020年度に行う実験のシステム構築のための費用に充てる予定である。
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