2019 Fiscal Year Research-status Report
The association between motivation and mind-wandering
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19K14481
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
川越 敏和 立教大学, 現代心理学部, 助教 (70786079)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マインドワンダリング / モチベーション / Trait-State / アパシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「やる気」と「マインドワンダリング (mind wandering: MW)」の関係について、複数の実験によって多角的に理解し応用することを目指すものである。初年度である本年度は、まず目的①として交付申請書に掲げた通り、若年者を対象に、複数の質問紙と実験心理学的手法(注意持続課題と経験サンプリング法)を用いてやる気とMWについて横断的な相関関係を調査した。本検討は、やる気とMWを特性的・長期的な視点である「Trait」と、状態的・短期的な視点である「State」の両面から測定した点が重要である。調査の結果、やる気とMWは両方の次元において有意な関連があることが明らかになった。また、それらの次元間の関連は見られないこともわかり、Trait-Stateの次元に依存した検討が必要である示唆を得た。本成果はプレプリントとして公表し、査読誌に投稿中である。 目的②として計画していた縦断的調査についてもデータを収集している段階であり、解析までには残り3割程度のデータが必要だという段階である。目的③については、共同研究先の介入実験は既に終了しており、想定通りの介入効果が確認されなかった。本実験については、計画変更を視野に入れて検討中である。 計画段階には明記していなかった研究として、MWの1種であるマインドブランキングという現象の神経活動を調査した研究とまた、モチベーションあるいはアパシーの指標として国際的な指標である「Dimensional Apathy Scale」の日本語版を作成した研究が、初年度に国際誌に受理されている。これらはいずれも本研究課題と深く関連し、今後の本計画遂行にも好影響を与える研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
目的①・②として交付申請書に掲げた横断的調査や縦断的調査については、予定通りの順調な進捗状況である。それに加え、モチベーションの指標としてより妥当性の高い尺度の日本語版を作成することができた。当該指標はモチベーションを主な測定対象とする本研究計画とは深く関連するものであり、日本語版の完成によって以降の個々の研究にも好影響を与えると予測されることから、この評価とする。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に掲げた目的②の縦断的調査については、7割ほどのデータは既に収集ずみである。20年度の上半期中に全データが揃う計画であったが、新型コロナウイルスの蔓延により、本書類執筆時点で研究活動にも多大な影響がでている。動向を見ながら研究を推進していきたい。交付申請書に掲げた目的③④については介入研究を計画していたため、現在のところは保留としたい。現時点では計画を大きく変更する予定はないが、今後の状況によっては柔軟に対応する必要がある。
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Causes of Carryover |
論文掲載費の支出のために前倒し請求を行ったが、投稿論文の査読に時間がかかり、掲載が年度を跨いでしまったため次年度使用額が生じた。当該予算については、当初の計画通り論文投稿費として使用する。その他の次年度請求分の予算も、当初の予定通り縦断的追跡研究や介入研究、成果発表などに費やす予定であるが、COVID-19の影響により実験ではなく調査研究を行う可能性もあり、そちらに経費を割くかもしれない。
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Research Products
(6 results)