2022 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ(Danio rerio)における社会的行動のオペラント条件づけ
Project/Area Number |
19K14484
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Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
黒田 敏数 株式会社国際電気通信基礎技術研究所, 脳情報通信総合研究所, 研究員 (80712968)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 社会行動 / コンピュータビジョン / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゼブラフィッシュは遺伝子組換えが容易であることに加え、比較的高い学習能力を持つことから、生命科学と行動科学の橋渡しとなることが期待されている魚類 である。社会性が高く、これにも学習が関わっていると考えられる。先行研究ではゼブラフィッシュの3Dモーションをリアルタイムで追跡し、特定の場所に接近することを条件に餌を提示すること(オペラント条件づけ)で、この接近行動の学習を確認できた。本研究では複数の個体を追跡し、互いへの接近行 動を条件に餌を提示することで、この標的行動が増加するかの実験的検討を当初計画していた。 2020年度までに複数の個体を追跡するシステムを構築し、2匹のペアを対象とした実験を行ったところ、一部のペアでは学習が起きたものの、その他のペアでは学習が確認できなかった。餌提示の条件となる接近距離や、接近している時間の長さなど、ペアによって適切なパラメータが異なるようである。またリアルタイムでの個体識別の精度は高いものの、100%にはできない技術的課題も残った。 こういった研究成果から、2021年度に研究計画を修正し、実験対象ではない別の個体(他個体)をモニターに映すシステムを構築した。ゼブラフィッシュの画像から作製した3Dアニメーションで、モニター上の位置や動き、角度をリアルタイムで操作できる。このシステムを用いて動かない個体、実験対象を追いかける個体、追いかけられる個体、ランダムに動く個体など、様々な動きへの選好を調査したところ、安定したデータが得られた。 2022年度(最終年度)には、モニターに映す個体の数や、動きの速さ、パターンなどを操作し、それに対する選好の調査を予定していたが、新しい所属先ではゼブラフィッシュ研究ができないことになった。そのため、最終年度(4~5月)は上記の2021年度に実施した実験の論文執筆および学会発表の準備が主な研究活動となった。
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