2019 Fiscal Year Research-status Report
可換環論を用いて双有理幾何学に現れる特異点の不変量の研究
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19K14496
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 康介 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特任研究員 (60819671)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 代数幾何学 / 特異点 / 最小対数的食い違い係数 / ジェットスキーム |
Outline of Annual Research Achievements |
極小モデル理論で扱われる不変量である最小対数的食い違い係数は代数幾何学で特異点を研究する際に重要な不変量である。正標数の場合には特異点解消の存在が証明されていないなどの問題によりあまり研究がされていない。しかし、正標数の場合であっても最小対数的食い違い係数をジェットスキームを用いて計算できることが知られている。そこで、研究代表者は最小対数的食い違い係数をジェットスキームを用いて研究し、いくつかの最小対数的食い違い係数の性質を示すことができた。 本年度に証明できたことは特別な場合を除いて正標数の場合の最小対数的食い違い係数を計算する例外因子が存在することがわかった。また、この結果の応用として、ある条件のもとで正標数の場合の非特異代数多様体に対する最小対数的食い違い係数の下半連続性を示すことができた。さらに、ジェットスキームを利用することで、任意の標数の2次元の超曲面semi-log canonical特異点をinitial termの観点から特徴付けし、その応用として石井志保子氏による最小対数的食い違い係数の計算する例外因子に関する予想について2次元の場合に解決した。 また、アーベル商特異点が完全交叉の場合について、special datumと呼ばれるグラフを用いて研究することで、可換環論の特異点の不変量と双有理幾何学の特異点の不変量の間の関係を調べた。それにより、渡辺氏による予想の精密化したものが、アーベル商特異点が完全交叉の場合について正しいことが分かった。 Huneke氏とSwanson氏は2次元の正則局所環に対してadjointイデアルとイデアルのコアの間に様々な関係があることを示している。研究代表者は彼らの結果の一般化としてイデアルに対しての主張を加群の場合に対して拡張することができた。 これらの結果は論文としてまとめ、ジャーナルに投稿済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
最小対数的食い違い係数をジェットスキームを使って研究することで、今まで未解決であった問題を解決できたため。ジェットスキームを利用した最小対数的食い違い係数の研究が有効であったと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ジェットスキームを使い最小対数的食い違い係数を研究をさらに進めていきたい。そのために、Denef氏とLoeser氏が開発した商特異点に対するジェットスキームの結果を利用した新しいアプローチを発見しているので、その研究をしようと考えている。これにより、いままでわかっていなかった商特異点の場合の最小対数的食い違い係数の性質を研究できると予想している。特に商特異点の場合のPrecise inversion of adjunctionと呼ばれる最小対数的食い違い係数に関する予想について研究したいと思っている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大により、参加を予定していた研究集会が中止になったため予定通りにいかなかった。今後の使用計画としては来年度の専門書の購入や旅費に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)