2019 Fiscal Year Research-status Report
連接層の導来圏への基本群作用と安定性条件の空間の研究
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19K14502
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平野 雄貴 京都大学, 理学研究科, 助教 (50804225)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Bridgeland安定性条件 / 連接層の導来圏 / 基本群の作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は主に, 3次元フロップ収縮に付随する三角圏上の安定性条件の空間についてグラスゴー大学のWemyss氏と共同で研究を行った. そして, その安定性条件の空間がある複素超平面配置の補空間上の被覆空間であることを証明した. これは戸田氏によるある種の3次元ゴレンシュタイン端末特異点のクレパント解消に付随する三角圏上の安定性条件の結果の一般化であるといえるが, 研究のアプローチは戸田氏の幾何学的なアプローチとは異なり, 主に非可換代数の表現論などを用いた代数的なアプローチで証明した. この結果を用いて, 3次元フロップ収縮に付随する三角圏のある種の自己同値群を決定した. さらに, 3次元ゴレンシュタイン端末特異点のクレパント解消であって例外曲線が既約な場合に, 付随する弦論的ケーラーモジュライ空間を具体的に求めた. この結果について, 2019年9月のメキシコでの研究集会と2020年2月の京都大学でのKTGUワークショップで講演した. また, 理化学研究所の大内氏と共同で, 鎖型の可逆多項式の極大次数つき行列因子化のなす圏上に強充満例外生成列が存在することを示した. この結果は, 過去に大内氏との共同研究で示した鎖型の可逆多項式の極大次数つき行列因子化のなす圏の半直交分解とその半直交分解に現れる充満忠実関手を具体的に記述することで得られた. さらに, 得られた強充満例外生成列に付随する傾斜対象の自己準同型射環を関係付き箙の道代数として実現した. この結果について, 2020年2月の大阪大学でのワークショップで講演した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の一つの大きな目標であった, 3次元フロップ収縮に付随する三角圏上の安定性条件の空間の決定ができたため. また, 当初想定していなかった鎖型の可逆多項式の極大次数つき行列因子化のなす圏上の強充満例外生成列の存在も示せたため.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本研究課題のもう一つの大きな目標である, 代数トーラスの擬対象表現に付随するGIT商の連接層の導来圏への基本群の作用について研究する予定である. 特に, 代数トーラスの擬対象表現に付随する窓と呼ばれる三角圏の間の自然な圏同値を, 傾斜加群が誘導する圏同値と自然に対応することを示すことを目指す.
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で, 3月に予定していた出張ができなくなったため. 小額のため, 令和2年度の使用計画は当初の計画通りとする.
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