2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K14504
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山岸 亮 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任研究員 (00825630)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シンプレクティック特異点 / 超曲面 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は主にシンプレクティック特異点と呼ばれる種類の特異点の分類に関する研究を進めた。シンプレクティック特異点は代数幾何学や表現論といった数学の分野のみならず、理論物理学においても重要性が増している数学的対象である。ゆえにその分類は基本的かつ重要な問題である。 本研究では、特に超曲面として得られるシンプレクティック特異点についての分類についての結果を与えた。一般的には超曲面の特異点は比較的単純なものと考えられるが、不思議なことにシンプレクティック特異点の場合においては知られていることは少なかった。実際、シンプレクティック特異点は必然的に偶数次元であるが、超曲面になっているものは最も単純な2次元の場合にしか分類が与えられていなかった。その次に単純な4次元のものについては、超曲面となる例の存在が知られているのみであった。本研究の成果として、超曲面として得られる4次元のシンプレクティック特異点がこのすでに知られている例で全て尽くされるということを示した。一般にはシンプレクティック特異点の分類は非常に難しい問題であるが、特別な種類のものとはいえ分類に関する結果を示せたことは今後の研究を見据えたうえでも有意義であったと考えられる。 この結果をまとめた論文は国際雑誌に投稿し、現在査読を受けている状態である。また、研究集会において得られた結果を口頭発表している。 また、2019年度は上に述べた超曲面の研究だけでなく、商特異点と呼ばれる種類の特異点についても研究を進めた。ここで得られた成果は2020年度に論文などを通して発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、2019年度は超曲面として得られるシンプレクティック特異点の分類に関する成果を出すことができ、また、得られた結果を論文にまとめて雑誌に投稿し、研究集会で発表することもできた。 さらに、新型コロナウイルスの影響などで2019年度に成果を発表することは叶わなかったが、商特異点など超曲面以外のシンプレクティック特異点についても研究を進めることができた。 これらのことから本研究課題は順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度はまずは現在進めている商特異点の研究についての成果を論文にまとめ、研究集会などで発表することを目指す。また、2019年度に得られた結果を一般化(例えば高次元化)することなども見据えて研究していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響のため出張の機会が減少し、2019年度は助成金に剰余が生じた。その分は特に次年度の旅費に充てる予定である。
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