2022 Fiscal Year Research-status Report
Study of algebraic solutions of the differential equations determined by isomonodromic deformations
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19K14506
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
光明 新 神戸大学, 数理・データサイエンスセンター, 講師 (90760976)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | モノドロミー保存変形 / 不確定ガルニエ系 / 代数解 / シンプレクティック形式 / モジュライ / 可積分系 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、フレーム付き確定接続のモジュライ空間上のシンプレクティック形式と大域的代数関数についての研究をBiswas氏、稲場氏、齋藤氏との共同研究によって進めた。今年度もZoomによる研究打ち合わせを中心に共同研究を進めたが、11月と3月には共同研究者であるBiswas氏が日本で行われた研究集会へ出席するために来日し、これらの研究集会の合間に対面での打ち合わせを行うことができた。その甲斐もあり理論を大幅に洗練化することができ、また論理の流れが見やすいように原稿を整理することもできた。結果として論文は完成し、現在投稿中である。 前年度に引き続き、不確定放物接続のモジュライ空間と不確定放物束のモジュライ空間の研究をLoray氏、齋藤氏との共同研究によって進めた。論文自体は昨年度に一度完成しており投稿中であった。今年度は査読のプロセスを進め、論文の改訂を通してAdvances in Mathematicsにこの論文が掲載された。 DiarraとLorayの不確定ガルニエ系の代数解の分類の中には、不確定ガルニエ系の明示的な式が知られていないために、代数解を明示的に与えることができていない例が1つ存在した。これまでに射影直線上階数が2の場合の(一般)モノドロミー保存変形の明示式を与える研究を行なってきたが、この研究を応用し、この残っていた代数解を実際に求めることに成功した。さらにこの代数解に関するタウ関数を明示的に与えることもできた。この結果は論文にまとめられFunkcialaj Ekvaciojへの掲載が決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
この研究計画の当初の目標の一つであったDiarraとLorayの不確定ガルニエ系の代数解のリストの補完を実際に今年度、実行することができた。また時間がかかっていたBiswas氏、稲場氏、齋藤氏との共同研究の研究成果をまとめた論文を完成させ、投稿することができた。 Loray氏、齋藤氏の共同研究はひと段落がついたが、新にSzabo氏を加え接続のモジュライ空間のダルブー座標を与える共同研究を始めることができた。また、稲場氏とは射影直線上階数が2で極因子の次数が4の場合の接続のモジュライ空間のコンパクト化の共同研究を始めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
接続のモジュライ空間のダルブー座標を与える研究をLoray氏、齋藤氏、Szabo氏との共同研究によって進める。接続の見かけの特異点に着目し、見かけの特異点が実際にダルブー座標を与えることを一般の曲線上で証明することができないか検討する。 射影直線上階数が2で極因子の次数が4の場合の接続のモジュライ空間のコンパクト化の研究を、稲場氏と共同研究によって進める。接続のモジュライ空間のコンパクト化のためには、接続の退化を含めてモジュライのオブジェクトの定式化を行う必要があるが、まずはこの定式化を行うことになる。 今年度の研究により新な不確定ガルニエ系の代数解を与えることができた。さらにこの代数解に関するタウ関数を明示的に与えることもできた。そこで今後はこの不確定ガルニエ系の対称性に着目し、この対称性によってタウ関数の変換が引き起こされるが、この変換を明示的に書き下すことを試みる。
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Causes of Carryover |
今年度もコロナ禍の影響で、参加したいくつかの国内研究集会はオンライン開催となった。また今年度は所属する組織において講義内容の刷新や、リカレント教育事業が新にはじまるなどして、その教材作成に追われてしまった。そのため海外出張の機会が制限された。 来年度についてはコロナ禍の制約がなくなり、また来年度は所属が変わり、教材作成などの負担は軽減されることが期待される。そのことから相応の出張旅費を使うことになると思われる。 また来年度はディスクトップ型のパソコンの購入を検討する。さらに研究推進上で重要となりそうな書籍は随時購入する予定である。
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Research Products
(8 results)