2021 Fiscal Year Research-status Report
シンプレクティック群上の新谷関数とその保型L関数への応用
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19K14507
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
源嶋 孝太 大阪市立大学, 数学研究所, 特別研究員 (20839196)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 新谷関数 / 新谷リフト / 志村リフト / 保型L関数 / 三重積L関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度には(1)ヤコビ群に関する新谷関数の研究、(2)志村リフト・新谷リフトの合成の研究、(3)三重積L関数の特殊値の、別のL関数の特殊値を用いた表示に関する研究を行った。 (1)ヤコビ群上の新谷関数は、ヤコビ群上の保型形式とシンプレクティック群上の保型形式の相対的な研究に役立つと期待される。当該年度にはヤコビ群の表現論に関する文献を収集し、ヤコビ群上の新谷関数のみたすべき基本的な性質を示した。 (2)志村リフト、新谷リフトをアデール群の保型形式の言葉で研究した文献はいくつかあるものの、テスト関数を具体的にとって明示的な計算がされているものは意外にも少ないように見える。当該年度には、まず志村リフトと新谷リフトをアデール群上の楕円保型形式とヤコビ形式の間のリフティングとして再定式化するために、分岐する素点においてそのテスト関数を具体的に構成した。そして新谷リフトの内積公式と、志村リフトと新谷リフトの合成がある保形L関数の中心値を用いて記述されることがわかった。また、後者の応用として志村リフトの内積公式も証明される。これは京都産業大学の村瀬篤氏との共同研究である。 (3)前年度には三重積L関数の中心から最も遠い臨界点における特殊値の、別のL関数の特殊値を用いた表示について研究を行った。当該年度には、その証明を一般化することで、すべての臨界値がある合流型超幾何関数の特殊値とSiegel級数を用いて表されることがわかった。これは大阪大学の福永健吾氏との共同研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、シンプレクティック群上の保型形式に関して視野を大きく広げることができたものの、シンプレクティック群上の新谷関数の研究というよりは、その応用を見据えた予備的な研究が多かった。また、主系列表現に関する新谷関数について、一般的な形でその明示公式を確立させることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
シンプレクティック群の主系列表現に関する新谷関数の明示公式を一般的な形で求めるという問題は、ある差分-微分方程式系の解を構成する問題と言い換えることができるが、一般にそのような差分-微分方程式の解を求めることは難しいように思える。そこで一時的に、一般的な形で明示公式を求めることをあきらめ、もっと特殊な場合に限定して、データを集める必要があるように思う。また、シンプレクティック群よりもランクの小さいヤコビ群の新谷関数をよく研究し、明示公式の形の傾向を理解することも重要であると考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で(特に海外への)出張・講演の機会が全くないため、研究計画通りに研究費を使用することに困難が生じているため。
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Research Products
(3 results)