2021 Fiscal Year Research-status Report
多重ゼータ関数の解析的性質研究への複素関数関係式の応用
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19K14511
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
小野塚 友一 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 学術研究員 (80838722)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多重ゼータ値 / 多重ゼータ関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は「多重ゼータ関数の解析的性質」の解明であり、そのために種々の多重ゼータ関数の解析的性質を研究している。本年度はリーマンゼータ関数の一般化である、フルビッツのゼータ関数とフルビッツ・レルヒのゼータ関数の多重版を研究した。 フルビッツのゼータ関数の多重版としてParametrized Multiple Series(PMS)という級数がある。この級数に関する研究は昨年度(令和2年度)にも行っていたが、本年度も引き続き研究を進めた。そしてPMSの間の関係式族を新しく証明した。この関係式族は「川島関係式の線形部分」と呼ばれるもので、多くの関係式を与えることが知られている。この研究ではさらに、「PMS間の全ての線形関係式は川島関係式の線形部分により与えられる」という事実まで証明した。この結果は論文としてまとめ学術雑誌に投稿した。 フルビッツ・レルヒのゼータ関数の多重版の研究として、非正整数点の周りにおける漸近挙動を研究した。多重化する前のフルビッツ・レルヒのゼータ関数に対しては、Apostolが非正整数点での特殊値を与えており、今回の結果はその多重版となっている。1重の場合には特殊値としての値を計算できたが、多重の場合には一般に特異点となっているため特殊値を与えられず、代わりに漸近挙動を与えている。この結果も論文としてまとめ学術雑誌に投稿した。 さらに多重ゼータ関数の非零領域の研究も進めている。絶対収束領域内の零点の分布を詳しく調べることで、非零領域を導こうとしている。この研究はまだ進行途中あるが、早い時期に完成させ論文として投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により直接顔を合わせての共同研究は難しくなっているものの、多重ゼータに関する研究結果は出せており、論文も投稿できている。また、今後の研究についても問題なく継続できそうである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行中の多重ゼータ関数のマイナス方向での漸近式に関する研究を継続して進めていく。それと並行して、複素関数関係式の応用に取り組みたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による外出自粛が原因で、予定していた出張がほとんどキャンセルとなった。そのため旅費が使用されなかった。本来行われる予定だった対面での共同研究を再開するための旅費に使用する。
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Research Products
(4 results)