2020 Fiscal Year Research-status Report
Clifford-Klein forms and Dolbeault cohomology
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19K14529
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森田 陽介 京都大学, 理学研究科, 助教 (70804318)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 幾何学 / 固有な作用 / 等質空間 / Clifford-Klein形 / K理論・KO理論 / コホモロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
群作用・固有性・コホモロジーに関連する幾何学を研究した。 Lie 群 G の離散部分群 Γ が等質空間 G/H に固有かつ自由に作用するとき、商空間には G/H を局所的なモデルとする多様体の構造が自然に定まる。このようにして得られる多様体を Clifford-Klein 形という。素性の良い幾何構造を持つ多様体は、しばしば Clifford-Klein 形の言葉を用いて記述できる。等質空間がいつコンパクトな Clifford-Klein 形を持つか、という問題は、1980年代後半から Lie 群論・エルゴード理論・コホモロジーなど様々な手法を用いて研究されてきている。 本研究を始めた時点では、Dolbeault コホモロジーを用いてコンパクト Clifford-Klein 形の存在問題を探究する予定であった。しかし前年度の Fanny Kassel・Nicolas Tholozan 両氏との研究で、fibrewise homotopy や KO 理論と関連する手法が発見された。この手法は非常に広い範囲の例に対して適用可能であることが(いくつかの例の計算から)予期されるため、こちらに注力する予定であった。しかし研究代表者の代数トポロジーに関する基礎知識が根本的に不足していたため、本年度は代数トポロジーや関連する圏論の知識(fibrewise ホモトピー論、モデル圏の理論、安定ホモトピー論の基礎、K 理論と Adams 作用素など)の習得が主な活動となってしまった。 その他、fibrewise な general topology の理論の考察や、力学系の Conley 指数の定義の再考なども行った。また、物理に現れる「可逆な場の理論」と微分コホモロジー理論について、当該分野の研究者と議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度は予想を超える大きな発見があったが、今年度は研究自体を進めることはほとんどできず、関連分野の文献の学習が中心になってしまった。そのため、現時点での進捗としては「やや遅れている」とした。 今年度は新型コロナウイルス感染症の流行などの事情もあり、今までのようなペースで研究を進めることができなかった。今年度の経験を生かして、次年度以降は研究時間をもっと確保できるようにしたい。
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Strategy for Future Research Activity |
具体例の計算を行う。また対称空間以外で今回の手法が適用可能か検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により、今年度は全く出張に行くことができず、旅費の支出がなかった。そのため次年度使用額が生じた。 状況が改善し次第、国内・海外の研究集会に参加したり、海外の共同研究者と議論をするために出張・招聘をおこなったりしたい。また来年度は科研費でパソコンや電子ペーパーを買い換える予定である。
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