2019 Fiscal Year Research-status Report
一般化ルート系に付随するワイル群の不変式論とフロベニウスおよび齋藤構造
Project/Area Number |
19K14531
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
白石 勇貴 大阪大学, インターナショナルカレッジ, 講師 (40773990)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | フロベニウス多様体 / フルビッツ・フロベニウス多様体 / 一般化ルート系 / ワイル群 / 不変式論 |
Outline of Annual Research Achievements |
高橋篤史氏・池田暁志氏・大谷拓己氏と共に(1)l-クロネッカー箙に付随するワイル群不変式論から構成されるフロベニウス多様体、(2)種数0、n個の境界それぞれに必ず一つの点を持つ点付き境界付き曲面に付随したフルビッツ被覆と原始形式から構成されるフロベニウス多様体の研究を行った。 (1)について:l-クロネッカー箙に付随するワイル群の不変式論からフロベニウス多様体の構成を行った。この際、コクセター元の固有ベクトル方向を考えることで、(一見多価の)不変式と判別式を得た。これを指数型の不変式の拡張とみなし、ドブロビン・ツァンの類似を用いることで、オイラーベクトル場方向が複素平面方向に対応することが分かった。更に池田氏のカラビ・ヤウ完備化の安定性条件の空間に関する結果を用いて、フロベニウス多様体の底空間が複素平面と開楕円領域の直積になる、つまり複素平面と上半平面の直積と同型であることを示した。 (2)について:二つの節特異点を持つ射影直線がその点で一本繋ぎになっているものをバルーン鎖と呼ぶ。対応する導来圏から得られる一般化ルート系が同型になるため、このバルーン鎖の圏論的特異点解消のミラーが上述のフルビッツ被覆であることを予想している。ミラーの候補となるこのフルビッツ被覆から構成されるフロベニウス多様体のポテンシャル関数を求め、更に対応する原始形式を求めた。 これまでの研究では、(1)では自然な底空間が複素平面と上半平面の直積と同型であることは示したものの周期写像については調べられていないため、対応するLG模型と原始形式の探索が必要である。(2)では対応するワイル群やその拡大の不変式論とそれに対するフロベニウス多様体を構成することが必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標であるl-クロネッカー箙に付随するワイル群不変式論に対するフロベニウス多様体の構成はできたため。また、これに付随して様々な発展的課題を発見できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、拡大カスピダルワイル群の不変式論に対するフロベニウス多様体の構成問題に取り組む。他方2019年度の研究において発展的に生じた次の課題の解決にも取り組む。(1)l-クロネッカー箙に付随するワイル群不変式論に対応するLG模型と原始形式、それらを用いた安定性条件の空間と周期写像の記述。またl-クロネッカー箙の導来圏は充満強例外列を持ち、得られたフロベニウス多様体は半単純であるため、ドブロビン予想の解決。(2)フェインゴールド代数と呼ばれるカッツ・ムーディー(KM)代数(これはl-クロネッカー箙に付随するKM代数を部分KM代数として持つことが知られている)に付随する一般化ルート系のワイル群不変式論に対するフロベニウス多様体の構成と、l-クロネッカー箙のワイル群不変式論に対するフロベニウス多様体の関係。(3)種数0、n個の境界それぞれに必ず一つの点を持つ点付き境界付き曲面に付随したフルビッツ被覆から構成される一般化ルート系のワイル群の不変式論に対するフロベニウス多様体の構成。特に(1)については、その候補と思しきLG模型と原始形式(の先頭項)の候補が見つかったので、これを詳細に調べる。(3)では、付随するワイル群やその拡大だけではなく、フルビッツ被覆に付随する点付き境界付き曲面への写像類群の作用まで考慮に入れるべき現象が共同研究者との議論から見つかった。類似の現象は楕円ルート系と拡大アフィンワイル群やヤコビ群の不変式論とフロベニウス多様体の構成でも見られるため、それらを手本に研究を推進する。
|
Causes of Carryover |
三月に予定していた当該研究課題に関する情報収集のための研究集会と勉強会への参加・実施をしなかったため。来年度夏以降に今年度開催できなかった勉強会や今年度の進捗を踏まえた研究打ち合わせへの使用を予定している。
|
Research Products
(1 results)