2019 Fiscal Year Research-status Report
一般化された測度距離空間上の曲率次元条件と測度集中
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19K14532
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小澤 龍ノ介 東北大学, 材料科学高等研究所, 助教 (80838110)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 測度距離空間 / 曲率次元条件 / リッチ曲率 / 測度の集中 / グラフ理論 / 最適輸送理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は横田巧氏(東北大)と共にLipschitz順序とよばれる測度距離空間の半順序に関する増大列の射影極限測度距離空間について研究を行った。この射影極限測度距離空間は、Ambrosio-Gigli-Savareによる一般化されたポーランド測度空間となることがわかり、無限直積などの無限次元空間も含まれる。Lott-Villani-Sturmにより導入された、測度距離空間におけるリッチ曲率の概念である曲率次元条件を増大列の各測度距離空間に仮定すると、その射影極限測度距離空間も曲率次元条件をみたすことが証明できた。現在は上記の結果をより強い条件であるリーマン的曲率次元条件への拡張と、射影極限測度距離空間における測度の集中現象にかかわる不変量の研究を行っている。 上記の研究と並行して、櫻井陽平氏(東北大)・山田大貴氏(地球研)と共に辺重みを持つ有向グラフへ比較幾何を行えるようLin-Lu-Yau型のリッチ曲率を拡張する研究を行った。グラフ上でリッチ曲率に関わる幾何解析を展開するにはラプラシアンが重要であるが、Chungによる有向グラフ上のラプラシアンに適合するようにリッチ曲率を拡張した。この設定の下、カルテシアン積のリッチ曲率の公式・ラプラシアンの比較定理・p-ラプラシアンの距離球の外側でのディリクレ固有値の評価などの研究を行った。これらの結果は論文としてまとめ、現在投稿中である。 また過年度に投稿していた論文が2本出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記の射影極限測度距離空間における結果は、当初予定していたピラミッドとよばれる測度距離空間の族でLipschitz順序での半順序集合となっているものに対して曲率次元条件を拡張する試みへの手掛かりとなる。また、当初予定していなかった有向グラフ上のリッチ曲率の幾何解析に関する結果も得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は当初の予定どおりピラミッドにおける曲率次元条件を導入するための研究に力を入れたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により予定していた出張が中止となったため。次年度に旅費として使用する予定である。
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