2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K14536
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| Research Institution | University of the Ryukyus |
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Principal Investigator |
松下 尚弘 琉球大学, 理学部, 助教 (30812292)
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2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 彩色問題 / Hedetniemi 予想 / Z/2-指数 / 幽霊写像 / 近傍複体 / 箱複体 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
当初は Hedetniemi 予想というグラフ理論において古典的な予想を近傍複体および箱複体を用いて否定的に解決を目指していたが、 Hedetniemi 予想が近年否定的に解決されたことから予定を変更し、近傍複体と Kronecker 被覆に関する研究を行って以下のような重要な成果を得た。 Kronecker 被覆はグラフから標準的なやり方で構成されるグラフの二重被覆で二部グラフになるものである。一般には同型でないグラフであってもそれらの Kronecker 二重被覆が同型になるものが存在する。したがって二部グラフ X が与えられたとき、 Kronecker 二重被覆が X であるグラフを分類せよという問題が生じ、実際にこのような問題にはいくつかの先行研究がある。
この二重被覆と近傍複体とは極めて密接に関係しており、近傍複体が同型なグラフは同型な Kronecker 二重被覆を持ち、またグラフにある程度緩い条件を課せば、 Kronecker 二重被覆が同型であるグラフは同型な近傍複体を持つことがわかった。また Kronecker 二重被覆は圏論的に非常に良い性質を持つことがわかり、これを用いることで、二部グラフ X に対し X に関する考察から X を Kronecker 二重被覆に持つグラフの分類や、それらの自己同型群を決定する手法を確立した。
本年度の研究では上記の手法を用いることで、 Kneser グラフ KG(n,k) というグラフ理論において基本的な重要性を持つグラフに対し、 KG(n,k) と共通の Kronecker 二重被覆を持つグラフを完全に分類し、それらの自己同型群および彩色数を決定することができた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相対的幽霊写像に関する研究は、相対的幽霊写像と有理ホモトピー論との関係について昨年度までの研究で十分な意義のある成果を得ている。
一方、位相的組合せ論に関する研究について、研究計画当初は Hedetniemi 予想という古典的な予想に対し、近傍複体（あるいは箱複体）を用いて否定的に解決することを目標にしていたが、 Hedetniemi 予想が近年 Shitov により否定的に解決されたことにより、急遽予定を変更し、近傍複体と Kronecker 二重被覆の関係に着目して重要な成果を得ることができた。
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| Strategy for Future Research Activity |
Kronecker 二重被覆に関する研究を続けていきたい。 Kneser グラフ KG(n,k) と似たようなグラフとして Schrijver グラフ SG(n,k) があり、 SG(n,k) と共通の Kronecker 二重被覆を持つようなグラフの分類などは類似の問題として自然に考えることができる。また Hedetniemi 予想は否定的に解決されたものの、以前の私の研究により Hedetniemi 予想から位相幾何学的な命題を導いたが、この位相幾何学的な命題についても研究を進めていきたい。また当初の計画通りに相対的幽霊写像の研究も進めていきたい。
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| Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルスの感染対策として、ほぼ全ての研究集会・セミナーがオンラインで開催されることとなり、出張経費として科研費を使用することができなかった。今年度は昨年度と同様に物品の購入などに経費を使いながらも、感染状況を見計らって出張旅費に使用することを考えていきたい。
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