2020 Fiscal Year Research-status Report
向き付け不可能曲面の写像類群における組合せ論的群論の観点からの研究
Project/Area Number |
19K14542
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Research Institution | Ishikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
小林 竜馬 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 講師 (90759408)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 向き付け不可能曲面の写像類群 / 向き付け不可能曲面のTorelli群 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、交付申請書に記載した研究目的のうち、「境界成分数が0,または1のコンパクトな向き付け不可能曲面のTorelli群の有限生成系」に関する研究に取り掛かった。より具体的には、この群の具体的な有限生成系を構成することを目的とした。当該研究を遂行するにあたり、この群の有限生成系の候補を見つけることから始めた。候補を見つけるために、この群を部分群として含むある群に焦点を当てた研究を行った。ここでは、その群の生成系について調べ、具体的な有限生成系を構成することに成功した(未発表)。(当該年度では、この研究成果を学術論文にまとめるところまで完了している。)ここで得られた結果を応用し、向き付け不可能曲面のTorelli群の有限生成可能性を調べる方針である。 当該年度は、これまでの研究期間で得られた研究成果をまとめた学術論文3本(① Infinite presentations for fundamental groups of surfaces, ② An infinite presentation for the twist subgroup of the mapping class group of a compact non-orientable surface, ③ Simple infinite presentations for the mapping class group of a compact non-orientable surface)を学術誌に投稿した(現在審査中)。また、これらの研究成果を4件の研究集会等で発表し、情報の発信に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、交付申請書に記載した研究目的「境界成分数が0,または1のコンパクトな向き付け不可能曲面のTorelli群の有限生成系の構成」を達成すべく研究に取り掛かり始めたが、この群の有限生成系の候補が見つからなかったため、この群を部分群として含むある群の生成系について調べる必要が生じた。その群に関する研究に時間を費やしたため、本年度は当該研究に本格的に取り掛かるまでには至らなかった。よって、当初予定していたより進捗状況が思わしくない状況である。また、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、通常業務にも大きな変化が生じ、その対応に追われたことで当該研究に従事する十分な時間を確保することができなかったことも、当該研究の進捗状況の遅れの理由として挙げられる。 前年度の進捗状況はおおむね順調であったが、本年度中に開始する予定であった「境界成分数が2以上のコンパクトな向き付け不可能曲面の写像類群の有限表示」に関する研究にも現時点で着手できていないため、「遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、交付申請書に記載した研究目的「境界成分数が0,または1のコンパクトな向き付け不可能曲面のTorelli群の有限生成系の構成」に本格的に取り掛かり、完遂させる予定である。具体的には、当該年度の研究で得られた結果(Torelli群を部分群として含むある群の生成系に関する研究結果)を応用し、Torelli群の具体的な生成系の候補を挙げ、それらで実際に生成可能かどうかを組み合わせ論的な手法により確かめる。 また、交付申請書に記載した研究目的「境界成分数が2以上のコンパクトな向き付け不可能曲面の写像類群の有限表示」について、現在知られている表示よりシンプルで有用な表示の具体的構成にも同時に取り掛かる。当該研究を遂行するために、この群のツイスト部分群と呼ばれる群の有限表示についても考察する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、当初予定していた出張が全てなくなったことや、通常業務に大きな変化がありその対応に追われたため、当該年度では予算を使うことができなかった。次年度に当該年度で行う予定だった研究を遂行するため、次年度使用額が生じた。次年度の使用計画は、状況が許せば国内外問わず研究集会等に参加するための出張費に当てる。また、研究打ち合わせのための出張費としても使用する予定である。
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