2019 Fiscal Year Research-status Report
Geometric study of some higher-order topological invariants related to corners
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19K14545
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
林 晋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 産総研特別研究員 (70807833)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | K理論 / 指数理論 / 高次トポロジカル相 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はコーナーと関連した指数理論に着目する。特にある種のToeplitz作用素の指数理論とその物性物理学との接点を通したさらなる理解の深化を睨んでいる。近年物性物理学において、コーナーと関連した新規な現象の提案がなされ、高次トポロジカル相と呼ばれて盛んに研究がなされている。本年度はこのような状況に鑑み、本研究との接点の明確化と基礎理論の整備、応用に取り組んだ。 Benalcazar--Bernevig--Hughesによる高次トポロジカル相の重要なモデルの一つを本研究の立場から検討し、このモデルがトポロジカルなコーナー状態を持つことのいまひとつの根拠を与えた。結果としてモデルが持つコーナー状態が既存の議論より強い頑強性を持つこと、コーナーと関連したトポロジーが系の形状に依存することなどが明らかとなった。ここで物性物理学との具体的な接点が得られたことは、様々な物理的な議論を本研究の数学的立場から検討するための一つの足場となるものと捉えている。 高次トポロジカル相の研究では主に点群対称性を保つ系が議論されているが、本研究の手法は点群対称性を特に要請することなくコーナー状態を議論することができる。上記の接点を通した一つの応用として、カイラル対称性で保たれた高次トポロジカル半金属相を提案した(中西毅氏、奥川亮氏との共同研究)。 四半面Toeplitz作用素の指数理論をKO理論の立場から展開し、四半面Toeplitz拡張に同伴するKO群の完全列を決定した。さらに高次の(余次元が2より大きな)場合についても既存の理論を整備・展開し、自然に現れる作用素環の定義等を行った。これらは上記の物性物理学との接点を通して見たとき、量子力学的対称性を保つ高次トポロジカル相を(点群対称性を課さずに)議論するための理論的基礎の整備としての意義があり、先述の状況に鑑みて先立って取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高次トポロジカル相との明確な接点が得られたとともに、基本的な理論の整備・展開も順調に進んでいる。これらは本研究の今後の展開の足場となるものと捉えている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画された研究を遂行するとともに、物性物理学との接点を通したさらなる理論の展開や、応用を念頭においた理論の整備・実際の応用等についても、昨今の高次トポロジカル相の研究の発展等に対応しながら柔軟に展開してゆく。
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Causes of Carryover |
年度末に参加を予定していた学会が中止となったため。次年度使用額は令和2年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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