2020 Fiscal Year Research-status Report
Geometric study of some higher-order topological invariants related to corners
Project/Area Number |
19K14545
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
林 晋 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 産総研特別研究員 (70807833)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | K理論 / 指数理論 / テープリッツ作用素 / 高次トポロジカル絶縁体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はある種の角のある系における指数理論の理解の深化とその応用を目的としている. 物性物理学で近年活発に研究されているトピックである高次トポロジカル絶縁体と本研究の接点が明確になった状況に鑑み, 本年度は主に可能な応用に取り組んだ. Kitaevによってトポロジカル絶縁体・超伝導体の分類にK理論が用いられ, 分類表(周期表)が得られている. またそれらにおけるバルク境界対応の証明にはテープリッツ作用素に対する指数理論を用いたものが知られている. 高次トポロジカル絶縁体は系の角に局在したトポロジカルな波動関数を持つという際立った特徴を持ち, 四半面テープリッツ作用素の指数理論によってその一つのモデルを説明できることがこれまでの研究でわかっていた. 本年度はこの手法をAltland-Zirnbauerによる10通りの対称性のクラスに対して展開した.四半面テープリッツ作用素に対してKO理論と指数理論を展開することで, それぞれのクラスにおける任意の次元と余次元を持つ系に対して, 余次元が着目する角の余次元より小さな角, (余次元1の)境界, バルクにおいてギャップのある系に対してある種の位相不変量を定義し, 角状態との関連を証明した. 得られた結果はそれぞれの系が持ちうる角状態と関連したトポロジーの分類表として整備した. 得られた表は従来のトポロジカル絶縁体・超伝導体に対するKitaevの周期表と類似の周期性を持つ. さらに分類表のそれぞれのエントリーにおける非自明な例の構成法を整備した. 構成法は表のエントリーの非自明な例二つについてある種の積を取るものであり, Kitaevの周期表の背後にある種の積構造があることを確認したものと見ることができる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子力学的対称性を保つ系における角状態とトポロジーの関連について, 四半面テープリッツ作用素に対する指数理論を展開することで, 期待された結果をまとめることができた. 主に点群対称性と呼ばれるある種の離散的対称性を課して議論されている高次トポロジカル絶縁体に対し, 点群対称性を課すことなくトポロジカルな角状態を取り扱うための枠組みを整備したものと捉えている. 一方で四半面テープリッツ作用素の指数理論についても, フレドホルム指数との関連が期待される不変量等についての部分的進展を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
応用面ではさらに点群対称性を保つ系を取り扱う理論の構築に取り組む. コーナーに関連した位相不変量自体の理解の深化についても, 本年度に得られた知見と当初予定していた別のアプローチの双方から引き続き研究を行う.
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Causes of Carryover |
昨今のコロナウィルスの情勢により予定していた研究集会への参加等に変更があったため. 次年度使用額は令和3年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である.
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Research Products
(2 results)