2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of operator algebras associated to number fields
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19K14551
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
武石 拓也 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 助教 (20784490)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 作用素環論 / 代数体 / KMS状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
代数体から作られる半群C*-環について,KMS状態及び分配関数に関する結果が得られ、これを論文として昨年11月にまとめた.この論文は,(1) 当該の半群C*-力学系のKMS状態のタイプを(低温のときに)決定する,(2) 分配関数を計算する,(3) デデキント・ゼータ関数がC*-力学系的な不変量であることを示す,という3つの内容を含んでいる.代数体から作られるC*-環にはBost--Connes系と半群C*-環があるが,前者についてはC*-力学系的手法及びK-理論的手法の双方でゼータ関数取り出せることが分かっていたものの,後者についてC*-力学系的手法によってゼータ関数が取り出せるかどうかは分かっていなかった(K-理論的手法では可能であることが知られていた).この部分を埋めることで,Bost--Connes系と半群C*-環の間に期待されるアナロジーを完成させたのが,この結果のもつ意義である. 研究開始時点で多くの部分はできていたが,特に(3)のステップで技術的困難に直面していた.7月に科研費にて招聘を行った際にこの問題について討論し,解決することができた。その後、9月にカナダに渡航した際に細かい計算などを詰めて,この時点でおおよそ完成させることができた.この論文は国際的な論文誌に投稿中である.この結果は1月に国内の研究集会にて発表し,また共著者によって国外における研究集会でも発表がなされた. その後は,半群C*-環について研究中に出てきた問題について継続して研究を進めている.また,未発表の結果が少し残っており,これらをどのようにまとめるかについても検討している段階である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の研究対象はBost--Connes系および半群C*-環であった.このうち,半群C*-環について一つの大きな結果を論文としてまとめることができた.そのため,研究は順調に進展していると言える.前述の通り,半群C*-環に関する未発表の結果・未解決の問題が残されており,継続して研究を進める必要がある.Bost--Connes系の問題についても検討したが,現在のところは芳しい成果は得られておらず,継続して考えていく必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
私の研究では国際的な討論の場が不可欠であるが,コロナ禍により海外渡航ができない状況となっているため,研究活動が非常に制限された状態となっている.現在のところ,毎週Web会議を開催して研究に関する討論を行っている.その結果,当初の想定よりもゆっくりではあるものの,着実に研究をすすめることはできている.イギリスとカナダへの渡航制限が解除されるまでは,このような形で研究を進めざるを得ないが,最善を尽くしたいと思う.
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