2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of operator algebras associated to number fields
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19K14551
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
武石 拓也 京都工芸繊維大学, 基盤科学系, 助教 (20784490)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 作用素環論 / 代数体 / グラフC*-環 / KMS状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
KMS状態および分配関数に関連して,グラフ・テープリッツC*-環上のKMS状態や分配関数などを調べ,論文として3月にプレプリントを発表した(C.Bruceとの共著).分配関数の組はC*-力学系の不変量であるため,そこにグラフの性質がどのように分配関数に反映されるかを中心に調べた.分配関数としてグラフの道の母関数が現れること,臨界温度としてグラフの境界のハウスドルフ次元が現れること,有限グラフの場合のKMS状態の型の決定,負の逆温度に対するKMS状態を持つ条件や相転移を起こす条件など様々なことを証明し,一つの論文にまとめた.上記の定理の中で最も興味深いのは有限グラフの場合の型の決定である.ここではan Huef--Laca--Raeburn--SimsによるKMS状態の分類結果を用いるのだが,彼らの分類定理の記述が非常に煩雑であるという問題があった.彼らの論文の内容を整理し,より自然な形の分類定理の記述を得ることができた.そして,それに基づいて型の決定を非常に自然な形で証明することができた.論文は査読付きの論文誌に投稿中である. 現在進行中の研究として,上記の論文に関連したグラフ・テープリッツC*-環の論文を現在執筆中である.また,本研究課題の核心の一つである,Bost--Connes系の分類の技術を応用することに関して,非常に有力な候補が一つ見つかり,研究を進めている. また,代数体由来の半群C*-環について分配関数を決定した論文(C.Bruce, M.Lacaと共著)を昨年度発表したが,その論文が正式にComm. Math. Phys.に受理された.この論文に関する研究成果の発表を,RIMS研究集会やカナダ数学会などでオンライン講演にて行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究が遅れている理由は明白であり,新型コロナウィルスである.海外出張ができなくなることは研究において致命的である.研究集会はオンラインで行われているものの,海外の研究集会に出席することは,時差があるため非常に難しい.また,オンラインでは休憩時間に出席者とディスカッションをすることも難しく,対面の研究集会の代替にはなっていない.研究打ち合わせなどをオンラインで行うことによって研究を進めたが,黒板の代替となるものの性能が今ひとつなため,効率が非常に悪い.そのうえ,時差の関係で早朝あるいは深夜に打ち合わせるため,負担が大きい.また,オンライン講義によって学内業務の負担が増したことも研究を圧迫している.しかし,それらをこなすことでなんとか研究を進めたため,年度内に論文を出すことができた.そのため,研究全体が致命的に遅れているというわけではない. 物品の購入も年度の前半は非常に滞っていて研究に支障が出ていたが(洋書が注文できないことは致命的である),年度の後半からは書籍などを購入することも可能になった.このことは今後の研究において好材料である.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,パンデミックの収束を期待する.パンデミック収束後の海外出張の予定が積み重なっており,一刻も早くそれらを消化したい.パンデミックの収束までは,現状の方法を続けるしか無いと考える.オンラインの研究打ち合わせを効率化するための物品などを調べて科研費で購入することで,少しでも効率的にオンライン会議を進めていきたい.できれば時差の負担を軽減する方法があればいいと思うので,色々と方策を調べていきたい. 数学的には,現在は比較的好調に研究を進められており,まずは執筆中の論文を完成させたい.研究実績の概要に記した「有力な候補」は,未解決の問題が山積しているため,それらについて考えていくことが今年度の具体的な目標になる.問題は作用素環論に起因するパートと数論に起因するパートに分けられて,現在は数論に起因するパートに取り組んでいる.解析数論の専門的な問題がたびたび登場する状況であるため,必要になれば,数論の専門家ともコンタクトを取って乗り越えていきたい.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスにより出張ができなくなったため.パンデミックの収束以降は速やかに予定されている国内出張および海外出張を行うことにより科研費を使用する.不透明ではあるが,パンデミックの収束に期待したい.
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Research Products
(5 results)