2019 Fiscal Year Research-status Report
Spectral theory of Neumann--Poincare operators
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19K14553
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮西 吉久 大阪大学, 数理・データ科学教育研究センター, 特任助教(常勤) (20740236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ノイマン・ポアンカレ作用素 / スペクトル / 線形作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「研究の目的」や「研究実施計画」にもあるように,様々な線形作用素に対応したノイマン・ポアンカレ作用素について,スペクトル理論を展開し,線形偏微分方程式に応用することを目的としている. 2019年度はとくに,ラプラス作用素に対応した, electro-static Neumann-Poincare operator と弾性体のLame システムに対応した, elastic Neumann-Poincare operator について, スペクトルの漸近挙動を研究し, 応用例に言及した.2020年3月現在,2019年度分の4編の論文が,査読付き国際学術誌に受理されている(researchmap も参照). 関連して,下記,国内外の各種セミナー,ワークショップや学会で, 講演(集中講演,特別講演を含む)も行った. 1."大阪市立大学理学部 E 棟数学講究室(E408 号室), 南大阪応用数学セミナー",2. " 2019 年度ポテンシャル論研究集会, 大阪市立大学", 3. "Workshop: Neumann-Poincare Operator and Related Topics, Central South University, Changsha, China", 4. "(特別講演) 日本数学会, 金沢大学", 5. "RIMS 共同研究(グループ型) 幾何構造がもたらすスペクトル解析における新展開, RIMS Workshop, New aspects on spectral analysis brought by geometrical structures, 京都大学", 6. "偏微分方程式集中セミナー,城之崎", 7, "The Ninth Congress of Romanian Mathematicians, Galati, Romania", 8."力学系-新たな理論と応用に向けて, 京都大学"
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初「研究の目的」や「研究実施計画」で予定していた,滑らかな3次元領域の2次元境界におけるノイマン・ポアンカレ作用素に対して,スペクトル(固有値)の漸近挙動を,第一次近似まで求めることが出来た.Weyl's law とも呼ばれるこの結果は,国際研究であり,査読付き論文として受理されている.さらにこの研究では,正負の固有値の挙動を各々求め,積分作用素に対して自己共役でない場合にも,固有値の漸近挙動を求めることが出来た. 自己共役な線形作用素に対しては,同様の研究成果が大量にあるものの,自己共役でない場合にも拡張可能であることを示せた.この新規性の高い本研究の成果は,Cloaking 現象やスペクトル解析に関連して,物理学でも強く要請されたものでもある. さらに,ディリクレ・ノイマン写像や幾何解析で研究される Willmore energy, (0階や-1階の)擬微分作用素のスペクトル理論にも関連した結果も出せた。 最終的に本年度の成果は,国際的な学術論文誌に4偏の論文として受理され,国際的な研究集会,学会でも講演の上,多くの分野(解析,幾何,物理学)の研究者との議論も活発に行われるようになった. ノイマン・ポアンカレ作用素のスペクトルの構造や挙動の問題は,詳細に知れば知るほど,物理現象も詳細に説明可能となり, 数学的な結果においても,境界の幾何構造や作用素の興味深い性質も露わになってきた. 加えて,2020年度以降さらに進捗予定の,Cloaking 現象やスペクトル解析の基礎付けも出来たと考えている.次年度に繋げるための研究論文も,一編はarxiv( https://arxiv.org/abs/2003.14387)を投稿準備中であり,さらにもう一編は執筆準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で扱うノイマン・ポアンカレ作用素のスペクトルは,領域(形状)に応じて挙動が大きく異なっている.本研究代表者を含む多くの研究者によって,さらに詳しい研究が進められている.このような,領域形状に応じたスペクトルの解析は,スペクトル幾何学の一分野とみなすことも出来る(勿論,スペクトルの解析として,解析学でもある).現時点でも既に,全世界で多くの研究がなされるようになっているが,それでも,様々な領域に対するノイマン・ポアンカレ作用素の詳細なスペクトル構造は,まだまだ発展途上である.本研究ではさらに,未解決な領域に対して,ノイマン・ポアンカレ作用素のスペクトル構造を解明することを目標にする.例えば,非常に長い領域や角のある領域における詳細なスペクトル構造は,まだまだ未解決である. 電磁気現象や弾性体の解析など,境界値問題や物理現象の解明や工学へも応用可能な具体例の構成も目指していく.とくに応用例として,Cloaking現象と呼ばれる線形偏微分方程式の解の爆発現象を,スペクトル解析を用いて解明することも,大きな目標である. 数値計算例も数少ないので,多くの数値計算も取り入れて,定理の傍証となる具体例にも取り組んでいく.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大による,国際出張(共同研究者と韓国出張を予定していた)の取りやめ および, 海外研究者招聘(韓国研究者を予定していた)を取りやめたため,次年度使用額が生じた. そこで,本年度は,予定していた国際共同研究のために,海外の研究者との打ち合わせを兼ねて,研究会(ワークショップ)を含めて交流を行う計画である.さらに,国内の研究者も交えた国際共同研究のため,暫くは,国内での共同研究作業のための打ち合わせにも使用する計画である.
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Research Products
(9 results)