2020 Fiscal Year Research-status Report
Spectral theory of Neumann--Poincare operators
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19K14553
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮西 吉久 大阪大学, 数理・データ科学教育研究センター, 特任講師(常勤) (20740236)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ノイマン・ポアンカレ作用素 / スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はとくに、ユークリッド空間においてラプラス作用素に対応した、electro-static Neumann-Poincare operator (以下、NP作用素)のスペクトル理論について、様相をまとめた論文を一本を発表した(参考文献[1])。さらに、二次元thin domainにおけるNP作用素のスペクトルの挙動についても論文として発表できた(参考文献[2])。応用面でいえば、3次元の凸領域に対するplasmonと呼ばれる調和関数の挙動とAnlmalous localized resonanceと呼ばれる現象の非存在を、数学の定理として定式化し、数値計算例としても非凸領域におけるNP作用素の固有関数とplasmonを視覚化し、論文の形で発表できた(参考文献[3])。 参考文献 [1] Spectral analysis of Neumann-Poincare operator, Revue Roumaine Math. Pures Appl., Jointwork with K. Ando,H. Kang and M. Putinar [2] Spectral structure of the Neumann-Poincare operator on thin domains in two dimensions, Journal d’Analyse Mathematique Jointwork with K. Ando and H. Kang [3] Surface localization of plasmons in three dimensions and convexity, SIAM Journal on Applied Mathematics, Jointwork with K. Ando, H. Kang and T. Nakazawa
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
すでに、「研究の目的」や「研究実施計画」で予定していた滑らかな3次元領域の2次元境界上のノイマン・ポアンカレ作用素に対して、スペクトル(固有値)の漸近挙動を第一次近似まで求めることは出来ており、2020年度はさらに、詳細なスペクトルの構造について、定式化できる段階に入ることができた。 応用面でいえば、ラプラス方程式を含む境界値問題の解の詳細な挙動も分かりつつある。これらの研究では、理論だけでなく数値解析の技術も利用しており、新規性に加え、実用性のある結果も順次得られつつある(研究実績の概要の参考文献も参照)。さらに、これらの結果は、国際研究集会(参考)においてアナウンスできる段階にも入ってきた。 (参考) [1] Conference in Spectral Theory and Mathematical Physics, Applications of Neumann-Poincare operators: non-cloaking by anomalous localized resonance for the electro-static system in threedimensional smooth convex domains, 2020/2/4 [2] 第16回 非線型の諸問題, Surface localization of plasmons in three dimensions and convexity, 2020/9/9
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で扱うノイマン・ポアンカレ作用素のスペクトルは、領域(形状)に応じて挙動が大きく異なっている。このことは、本研究代表者を含む多くの研究者によって、さらに詳しい研究が進められつつある。また、領域形状に応じたスペクトルの解析は、スペクトル幾何学の一分野とみなすことも出来る(勿論、スペクトルの解析として、解析学でもある)。現時点でも既に、全世界で多くの研究がなされるようになっているが、それでも、様々な領域に対するノイマン・ポアンカレ作用素の詳細なスペクトル構造は、まだまだ発展途上の研究テーマである。本研究ではさらに、未解決な領域に対して、ノイマン・ポアンカレ作用素のスペクトル構造を解明することを目標にする。例えば、高次元(3次元以上)でも、非常に長い領域や角のある領域における詳細なスペクトル構造は、まだまだ未解決である(研究実績の概要の参考文献[2]参照)。 電磁気現象や弾性体の解析など、境界値問題や物理現象の解明や工学へも応用可能な具体例の構成も目指していく。とくに応用例として、Cloaking現象と呼ばれる線形偏微分方程式の解の爆発現象を、スペクトル解析を用いて解明することも、大きな目標である。 数値計算例も数が少ないので,多くの数値計算も取り入れて,定理の傍証となる具体例にも取り組んでいく(研究実績の概要の参考文献[3]参照)。さらに、大規模な数値計算を含めた計算機援用を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス対策のため、参加予定の研究会が次年度(2021年度)に延期になった。延期された研究会への参加は、現在でも予定している。
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Research Products
(9 results)