2019 Fiscal Year Research-status Report
Studies on integral representations of GKZ hypergeometric functions
Project/Area Number |
19K14554
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松原 宰栄 神戸大学, 理学研究科, 特命助教 (70834381)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | GKZ超幾何函数 / 積分表示 / 交叉理論 / 急減少ホモロジー群 / モノドロミー表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はGKZ超幾何函数と呼ばれる特殊函数の積分表示の理論を研究して、大域解析及び漸近解析を完成することを目標とする。本年度は主に(コ)ホモロジー交叉数の研究とGKZ系の大域解析について進展が得られた。 1.Euler-Laplace積分表示と交点理論:現在までに、Euler-Laplace型積分表示に付随する急減少ホモロジー群の基底を、収束三角形分割Tから組み合わせ的に構成する方法を確立した。(a)小樽商大の後藤良彰氏との共同研究により、Tの単模性を仮定せずにEuler型積分表示のホモロジー交叉数を完全に決定した。応用として種々のGKZ超幾何函数の二次関係式を得た。(b)急減少ホモロジー群の交叉理論を一般に定式化し、Tが単模の場合にEuler-Laplace型積分表示のホモロジー交叉数を決定した。応用として木村-原岡-高野の多変数超幾何函数の二次関係式を得た。(c)上記の研究の応用として、パラメーターが実の場合のGKZ系はモノドロミー不変エルミート形式を持ち、その符号数が正則三角形分割の組み合わせ論から記述できること(F.Beukers氏による予想)を示した。 2.モノドロミー不変部分空間の無限階差分作用素による記述:M.-C. Fernandez-Fernandez氏のアイデアに基づき、不確定特異点型GKZ系のモノドロミー表現を、パラメーターに対する仮定の下で既約分解する方法を与えた。 3.三角形分割の合流:特殊函数論における標準的操作である、合流操作をGKZ系の文脈で定義した。さらに付随する二次扇、正則三角形分割の合流も定式化し、いくつかの計算例をも得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交叉理論の整備が不確定特異点型(Euler-Laplace型)まで込めて一層進んだ。さらに、モノドロミー不変部分空間の記述、三角形分割の合流は次年度以降のGKZ超幾何函数の大域、漸近解析において基本的な役割を果たすものと予想される。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.交叉理論:パラメーターが実の場合には、多変数超幾何積分は偏極ホッジ構造を持つであろうことが、花村-吉田らによって示唆されている。これはRiemannの不等式の存在を示唆しており、モノドロミー表現に対する強い制約を与える。これをGKZ系の枠組みで記述することは、大域解析に寄与するはずである。 2.モノドロミー表現:最近J.Forsgard氏により、amoebic fundamental groupが定義された。これはGKZ超幾何系の基本群をほぼ捉えているものと理解できる。申請者の接続問題に関する結果を記述するために、amoebic fundamental groupoidを定義することで、大域解析をより深く理解できると期待される。 3.合流:現在まで、合流操作は組み合わせ的レベルで定義されているに過ぎない。これを級数や積分路のレベルまで定式化することにより、漸近解析への手がかりにしたい。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの流行により、研究出張が中止となり、残額が生じた。次年度の旅費や書籍購入費用に充当する予定である。
|
Research Products
(9 results)