2019 Fiscal Year Research-status Report
周期点におけるmultiplierを用いた複素力学系におけるモジュライ空間の研究
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19K14557
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
杉山 登志 岐阜薬科大学, 薬学部, 准教授 (10835614)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 複素1変数多項式のモジュライ空間 / モニックかつ中心的な複素1変数多項式 / 固定点重複度 / multiplier / 正則指数 / 被覆次数 |
Outline of Annual Research Achievements |
複素1変数の自己正則写像の固定点において,multiplier(微分係数)を少し拡張した概念である「正則指数」および重複度が定義される。全ての固定点における重複度と正則指数の組の集まりを与えたときに,それらを実現する複素1変数多項式がアファイン共役のレベルでどれだけあるのか,を調べる研究を行った。複素1変数多項式が重複固定点を持たない(すなわち,全ての固定点における重複度が1の)ときには,この問題は既に解決済みであり,重複固定点を持つ(すなわち,少なくとも1つの固定点における重複度が2以上の)場合にはこの問題を解決することが飛躍的に難しくなることは既に分かっていた。2019年度中に,重複固定点を持つ場合において,2つの結果を得ることができた。まずは,全ての固定点における重複度の集まりを指定するごとに,genericに与えたな正則指数の集まりに対して,それらを実現する複素1変数多項式がアファイン共役のレベルでどれだけあるのかを求めることができた。ただし,これはあくまでもgenericな結果であって,全ての正則指数の集まりに対して解決できたわけではない。もう1つは,ただ1つの重複固定点を持つ場合である。この場合には,全ての正則指数の集まりに対して,それらを実現する複素1変数多項式がアファイン共役のレベルでどれだけあるのかを完全に求めることができた。この結果は,重複固定点を持たない場合とほぼ同じ式で与えられ,しかも,その証明も重複固定点を持たない場合をほんの少し改良するだけであることが分かった。今後は,2個以上の重複固定点を持つ場合におけるgenericでない詳細な結果を得ることを目標に,研究する予定である。一方で,重複固定点を持たない場合の詳細な結果は,arrangementの分野と関係する可能性が高いことも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重複固定点を持つ場合についての研究に手がかりがついたことは大きな進展であり,もう少し種々の考察を行うことで,より研究が進む可能性が高い,という感触を得ることができたのも今後に向けての明るい材料である。また,これまでは全く意識していなかった,arrangementの分野との繋がりが見えたのも進展である。この方向に関する具体的な結果はまだ何も得られていないが,今後,想定外に大きく育つ可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,2019年度に出た2つの結果を,論文に仕上げて投稿する。 次に,2個以上の重複固定点を持つ場合におけるgenericでない詳細な結果を得ることを目標に,研究を続ける。 また,既に得られた結果を,arrangementの分野から解釈し直すことにより,どのような定式化が可能であるのかを調べる。
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Causes of Carryover |
デスクトップパソコンを購入予定であったが,代わりにモニターを購入し,ノートパソコンと繋げて使用することにした。そのおかげで少し予算に余裕ができたため,次年度への繰り越しが生じた。一方で,現在進行形のコロナ禍のため,追加で種々の物品を購入する必要を感じており,繰り越した予算はそちらに充当する予定である。
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