2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K14560
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
中津 智則 芝浦工業大学, システム理工学部, 准教授 (50732898)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 確率微分方程式 / 経路依存型係数 / 確率密度関数 / ガウス型評価 / バリアオプション / リスク指標 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に得られていた経路依存型の係数をもつ多次元確率微分方程式の解の確率密度関数のガウス型評価の研究発表を行い、国内外の研究者から様々な助言を受けた。より一般の条件下で結果を得るために、文献の調査を始めた。 確率過程の最大値の研究に関して、金融商品のリスク指標(グリークス)の数値計算を行った。アップアウトコールオプションと呼ばれるバリアオプションの、デルタと呼ばれる株価に関するリスク指標を、得られた結果(部分積分公式)を用いて数値計算したところ、有限差分法での計算結果と比べ、数値計算結果が安定することが観測された。この結果は、研究集会などですでに発表し、金融の研究者や実務家などから助言を受けた。 さらに、ベガと呼ばれる、ボラティリティ(株価の分散にあたる)に関するリスク指標を計算するための公式を導き、こちらについても数値計算を行った。 また、一次元確率微分方程式の解の離散時間最大値の確率密度関数に関する論文が、国際誌Applied Mathematics and Computationに受理・掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
確率微分方程式の解の確率密度関数の評価については、どこまで一般化し論文にすべきかは悩ましいところであるが、少なくとも次のステップの方針はすでに考えている。 バリアオプションのリスク指標に関しては、数値計算結果によって、得られた数学的結果が有効であることが分かった上、次に行うことも明確になっている。
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Strategy for Future Research Activity |
確率微分方程式の解の確率密度関数の評価について、R.ContらによるFunctional Ito calculusの理論が使えるのではないかと考えており、この理論の適用を目指すべく、まずは理論を理解することから始める。 バリアオプションのリスク指標に関しては、ガンマと呼ばれる株価の二階微分で定義されるリスク指標を表現する公式を導き、これを数値計算に用いて有効性を検証する。
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Causes of Carryover |
これまでコロナ禍により出張があまり出来なかったことにより、予算が余ってきたため。今年度は研究集会を企画する予定があるので、そちらに予算を充てたいと考えている。
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