2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K14577
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
齋藤 洋樹 日本大学, 理工学部, 助教 (20736631)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 荷重付きHausdorff容量 / 分数冪積分作用素 / capacity / Choquet空間 / 双対空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度における研究により, 2つの成果を得た.本研究は荷重付きHausdorff容量による種々の関数空間とその上に定義された作用素を研究することを目的とするが,本年度の成果の一つは荷重なしの結果に留まった.だがその後も研究は進行していることを報告する. (1) 1つ目は分数冪積分作用素のHausdorff容量によるChoquet空間上の有界性を示した論文が受理されたことである.分数冪積分作用素はその名の通り,積分概念を1階(あるいは1回),2階という整数階数であったものから実数の範囲に拡張したものであり,偏微分方程式への重要な応用がある.Lebesgue空間L^pからL^q空間への有界性がSobolev指数で成立することは良く知られているが,この事実を空間次元n上のLebesgue測度をHausdorff容量H^dで考察し,p,q,d,n,と分数冪αとの関係を明らかにした.こちらは現状非荷重の結果に留まっている. (2) 2つ目は荷重付Choquet空間L^p(H^d)というLebesgue空間の測度を荷重付Hausdorff容量で定義した関数空間に関する双対空間の研究である.これは本研究課題の一つである,荷重付きBesov空間をHausdorff容量で考察することに対する基礎研究に対応する.双対空間の研究は研究対象に対する様々な表現の仕方を与えるもので,関数空間の研究に非常に有効である.本研究によりRadon測度のなす荷重付きMorrey空間と一致するという結論を得ることができた.これは有名なAdamsの定理の拡張にもなっている.こちらは現在投稿中である. さらに引き続きBesov容量との関連を研究中であり,現在研究計画の通りに遂行している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の(1)について予定では荷重付きの結果を得るところではあったが,解決に向けた方針をすでに得ている.Hausdorff容量による分数冪積分作用素のL^p有界性について, pが1以下の範囲に限定せざるを得ないということが最近の研究で明らかになった.このことに対する意味づけは慎重に行う必要があり,時間を要する原因となっている. (2)の結果も荷重付きBesov空間の双対空間を決定する際,考察の重要な一助となる結果である.当初原著論文と同様の方針で荷重付Choquet空間の双対空間が決定できると思われていたが,この方針には誤りがあることが明らかになった.方法を見直せば結果は正しいことが確かめられた.このことが原因となり当初の予定より出遅れたともいえるが,その後の研究でその遅れを取り戻している.以上のことから研究計画に特に変更はなく,概ね順調に進行していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
以下(1),(2)はいずれも研究計画の通りであり,(3)は派生した問題である. (1)引き続き分数冪積分作用素の荷重付きChoquet空間上のL^p有界性について調べる.指数pが1よりも小さいところに限定せざるを得ない必然性について慎重に検討する. (2)荷重付きBesov空間の双対空間について考察し,それを用いて定義されるcapacityの研究を行う.現在は計画通り荷重付きBesov空間に稠密な滑らかな関数の特徴付けを調べている.これらの研究により,Carlesonの埋め込み定理のひとつの拡張を得ることができると考えている. (3)上記の結果である荷重付Choquet空間の双対空間を決定できたことにより,それに派生してBessel容量やRiesz容量の荷重付き双対定義を得ることができることが予想される.当初の研究計画には入っていないが,荷重付きBessel容量と対応する荷重付Sobolev空間の先行研究は古く,ここでの研究がどう貢献するかも同時に検討する予定である.
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Causes of Carryover |
今年度前半に重要な国際会議や研究集会が国内で開かれたため、旅費として使用した。そのため、購入予定であったPCを購入するために必要な費用を確保しにくくなった。そこでPC購入を次年度に見送り、予算を多めに次年度に持ち越した。
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Research Products
(5 results)