2021 Fiscal Year Research-status Report
Realizations of singularity configurations of discrete Painlevé equations
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19K14579
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
長尾 秀人 明石工業高等専門学校, 自然科学系, 准教授 (00760125)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パンルヴェ方程式 / 離散可積分系 / ラックス形式 / 超幾何関数 / ワイル群 / 初期値空間 / パデ法 / 楕円曲線 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 長尾と山田(神戸大学)はアフィン・ワイル群対称性E7型q差分パンルヴェ方程式の基本データ(方程式, ラックス・ペア, 超幾何関数型特殊解, アフィン・ワイル群表現)を構成した(論文投稿中). (2) 長尾は, パデ法を用いて, アフィン・ワイル群対称性E7型, E6型, D4型, A3型加法差分パンルヴェ方程式の基本データ(方程式, ラックス・ペア, 超幾何関数型特殊解)を構成し系統的にまとめた(Lett Math Phys誌で論文発表). (3) 長尾はD4型加法差分パンルヴェ方程式の多変数的拡張として加法差分ガルニエ系を与え, 基本データ(方程式, ラックス・ペア, 一般超幾何関数による特殊解)を得た. 副産物として, 自励化として超楕円曲線に付随する離散可積分力学系を構成し, q差分ガルニエ系からの簡約と, E7型, E6型, D4型加法差分パンルヴェ方程式への簡約を与えた. さらに, E7型加法差分パンルヴェ方程式を, 従来の標準的な方向とは異なる変形方向について, 従来型と同様の因子化された方程式として与えた(論文投稿中). (4) 長尾と山田は, パデ法による微分/離散パンルヴェ方程式やそれらの多変数系への応用に関する総合報告を完成させた. パデ法の多変数への拡張としてエルミート・パデ補間を用いた多変数離散パンルヴェ系に対してラックス形式を与えた(SpringerBriefs誌に書籍発表) (5) 長尾と山田は, q差分ガルニエ系の差分拡張としてq-quadratic差分ガルニエ系を構成し基本データを得た. 自励化として超楕円曲線に付随する離散可積分力学系を構成した. また, E8型, E7型q差分パンルヴェ方程式への簡約と, 楕円差分ガルニエ系からの簡約を与えた. Ormerod-Rainsによる対称q差分ガルニエ系との関係を明らかした(論文準備中).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的「有理曲面(特異点配置)の実現すべてに対して, 離散パンルヴェ方程式の基本データの完成を探求する」に対して, まず有理曲面(特異点配置)の実現が, q差分の場合でE8, E7, E6, D5, A4, A2+A1型, 加法差分の場合でE8, E7, E6, D4, A3型まで進んでいる. これらについてはパデ法を用い て基本データ(方程式,ラックス・ペア,超幾何関数型特殊解)が構成することができる. パデ法は離散パンルヴェ方程式の多くのクラスに適用の可能性があり, 基本データの完成に有用である. 離散ガルニエ系を研究する中で, E8型q差分パンルヴェ方程式とq差分ガルニエ系の関係について新しい発見があり, 現在進展中である. 2変数退化q差分ガルニエ系についてE6型q差分パンルヴェ方程式のみが知られているが, 離散パンルヴェ方程式の有理曲面の実現を研究する中で他の具体例についても新しい発見があり, 現在進展中である.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を推進する上で, 有理曲面(特異点配置)全てとそれに対応するアフィン・ワイル群対称性の構成を完成させることが必要不可欠である. 次に, そこで得られたアフィン・ワイル群対称性を基にアフィン・ワイル群表現の構成を進めたい. アフィン・ワイル群表現の構成と並行して, パデ法がで適用可能なクラスにおいて, 方程式・ラックス・ペア, 超幾何関数型特殊解の構成を進めたい. 離散ガルニエ系の研究を継続しながら, 離散パンルヴェ系, 離散高階パンルヴェ系, 離散KP階層などの離散可積分系との関係も明らかにしていきたい.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由: 科研費によって図書および物品を購入する必要がなくなり, また新型コロナウィルス感染拡大に伴い, 日本数学会年会などの研究集会がオンライン形式で実施されたため. 次年度使用額の使用計画: 書籍や計算機の購入, 旅費, 謝金として使用する.
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