2021 Fiscal Year Research-status Report
Well-posedness and global dynamics of solutions to nonlinear partial differential equations
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19K14581
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
池田 正弘 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 研究員 (00749690)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 適切性 / 大域挙動 / 非線形性 / シュレディンガー方程式 / 波動方程式 / 拡散方程式 / 解の爆発 / 尺度臨界空間 |
Outline of Annual Research Achievements |
Hardy-H\'enon拡散方程式の初期値問題を重み付きルベーグ空間内で研究した. 尺度臨界及び劣臨界空間で, 適切性を, 優臨界空間で, 局所解の非存在の結果を得た. 臨界空間で, 前方自己相似解の存在を示した. 空間3次元以上のエネルギー臨界Hardy-Sobolev拡散方程式の初期値問題で, 初期値のエネルギーが基底状態以下の時, 解が, 時間無限大で0になるか, 非有界になるかの必十条件を与えた. 空間2次元の点相互作用ポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式をエネルギー空間で研究した. この方程式の基底状態の存在と性質を示した. 初期値問題の局所適切性とエネルギー保存則を示した. 定在波に関して, 小さな周波数の安定性, 大きな周波数かつ質量(劣)臨界の安定性と質量優臨界の不安定性を得た. 反発的逆冪ポテンシャルを持ち, 質量優臨界かつエネルギー劣臨界の非線形シュレディンガー方程式の初期値問題で, 基底状態の質量-エネルギー未満の初期値に対する解の長時間挙動を研究した. 解が時間大域的かつ時間に関して一様有界である初期値及び解が時間に関して非有界であるための初期値の必十条件を与えた. 空間1次元で反発的線形ポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式に対しても類似の研究を行った. 分数冪ラプラシアンを持つ消散型波動方程式の初期値問題の適切性と解の時間減衰評価を研究した. 線形解のべゾフ空間と重み付きルベーグ空間における減衰評価を導出した. 非線形問題の適切性及び藤田優臨界の場合の解の減衰評価を導出した. 空間1次元で, 3階以下の微分を含みかつ3次以上の非線形項を持つ4階シュレディンガー方程式の初期値問題を研究した. 様々な既存研究を含んだ適切性の結果を得た. 証明の鍵は, デュアメル項の分解を用いた線形評価とそれを応用した双線形評価を確立にある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は, 査読付き学術論文11本が当該分野の権威ある国際誌に掲載または掲載予定である. このことは, 本研究が順調に進展していることを示している. 以下で, 各課題の進捗状況を述べる. Nonlinear Analに採録されたHardy-H\'enon拡散方程式の研究の新規性は, 重み付きルベーグ空間で初期値問題の適切性を示した点である. この研究により, この問題の理論的基礎付けを与えた. Nonlinearityに採録されたHardy-Sobolev拡散方程式の研究の重要な点は, 背理法の中で構成する「最小エネルギー爆発解」を既存研究で用いられた「backward uniqueness」を用いずに排除した点である. 別の重要な点は, プロファイル分解を用いて, 非線形プロファイルを構成するが, 平行移動パラメータが遠方に行く非線形プロファイルの性質を抽出した点である. JDEに採録された空間2次元の点相互作用ポテンシャルを持つNLSの研究の困難な点は, エネルギー空間が通常のソボレフ空間ではなく摂動されたソボレフ空間である点にある. この空間の元をregularパートとsingularパートに分け、それぞれの性質を抽出することで, この困難さを克服した. JMPに採録されたNLSの解の有界性に関する論文では, ポテンシャルの無い基底状態未満の初期値に対して, kineticエネルギーの役割を明確にした. JMAAに採録された反発的線形ポテンシャルを持つNLSの研究は, 空間1次元という線形解の時間減衰が遅い状況の中で, 基底状態未満の初期値を扱ったことは, 基底状態以上の初期値に関する研究に繋がる. NoDEAに採録された分数冪ラプラシアンを持つDNLWと4階NLSの研究は, フーリエ解析を駆使して, 非線形項を精密に評価することで, いくつかの先行研究を拡張した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は, 現在進行中のいくつかの重要な研究課題があるので, それらを推進して, 学術論文に纏め出版する. また, 当該研究分野にブレークスルーを与えるであろういくつかの着想があるので, それらを具現化していく. それらを達成するため, より一層共同研究者と綿密な連携を図り, 丁寧な議論を重ねる. オンラインミーティングの充実化を図り, 対面での議論を通して, 研究の骨子になる部分の解決を試みる. さらに, 国際協力関係をより強化することで, 日本にない研究の芽を見つける. 進行中の研究課題のいくつかは以下である. Hardy-H\'enon拡散方程式の重み付きLorentz空間における初期値問題の適切性及び解の無条件一意性. BBM-Burgers方程式及びKdV-Burgers方程式の減衰の遅い初期値に対する解の漸近展開. ハイパーグラフ上の劣モジュラーラプラシアンに対するClique展開とStar展開に関する理論保証. 線形ポテンシャルを持つ消散型波動方程式の線形解の時間減衰評価の導出とそれらの非線形問題への応用. 線形ポテンシャルを持つ非線形シュレディンガー方程式の基底状態以上の質量-エネルギーを持つ初期値に対する解の長時間挙動. プラズマ物理に関連のある微分型非線形シュレディンガー方程式系の基底状態の存在とその性質及び初期値問題の大域適切性と定在波の安定性
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により出張旅費に残額が生じた. 今後は, 国内出張を拡充させて研究の推進を図る.
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Research Products
(22 results)