2019 Fiscal Year Research-status Report
反応拡散系のパターンダイナミクスに対する非一様性・非局所性との関係
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19K14588
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 宏子 東京大学, 大学院数理科学研究科, 特任助教 (10759153)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 反応拡散系 / 中心多様体縮約 / 安定性解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
空間的非一様性を含む,ある反応拡散方程式に対する定常解の存在を示すことができた.この結果については,論文をまとめている最中である.また,非局所相互作用をもつ反応拡散方程式に関しても,定常解などの存在は既に示されていた.これらを踏まえて,本年は主に,パターンダイナミクスを調べるために用いられる方法の一つである,中心多様体縮約について理解を進めた. 特に,自己重力作用をもつ圧縮性ナビエ・ストークス方程式に対して,密度一定の静止平衡解が重力崩壊により不安定化する問題を考察した.その後,中心多様体縮約が可能な場合に,得られた縮約方程式の主要部を導出し,分岐やパターンについて調べた.得られたパターンはポリトロープ指数に応じて,指数増大する場合,対称性のあるパターン,層状のパターンが現れる場合の3つに分類しており,この結果は既に論文として掲載されている.ある反応拡散方程式のパターンに対して,中心多様体縮約を用いている結果もあり,空間的非一様な反応拡散方程式のパターンに対しても適用可能かどうかを調べている. また,空間的非一様性,及び非局所相互作用を含む反応拡散系に対する安定性解析を行うための準備として,無限次元Stability Indexに関する文献を調べた.本研究が扱う問題に対して,無限次元Stability Indexの結果が適用可能かどうかを調べている最中であり,空間多次元における進行波解についても考察している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
パターンダイナミクスを調べるための一つの方法である,中心多様体縮約に関する理解を進めるのが遅れてしまった.また,中心多様体縮約が可能な場合において,縮約方程式の主要部を導出することに,時間がかかってしまった. また,無限次元Stability Indexについても,理解を進めるために時間がかかってしまっている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,空間的非一様性を含む,ある反応拡散方程式に対する定常解の存在に関して,論文をまとめて投稿する.非局所相互作用を含む発展方程式については,多成分の反応拡散系により解を近似する手法がある.この近似は空間一次元でのみ可能であったが,空間多次元の場合における近似についても考察しておく. また反応拡散系のパターンダイナミクスを理解するために,,本研究では基本的に, (1): 反応拡散系の安定性解析,(2): 反応拡散系に対する解のダイナミクスを調べる,(3): 反応拡散系の解のダイナミクスと,空間的非一様性・非局所性との関係を調べる,の3つを主に進める.そのために,無限次元Stability Indexの理解と空間多次元への一般化について考察し,安定性解析とパターンダイナミクスについて調べる予定である.
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 反応拡散系に対する安定性解析や,パターンダイナミクスを調べる研究に関して,国内外の研究集会で発表する予定であったが,研究の進度が遅れており,中心多様体縮約による縮約方程式の導出を進めた.また,無限次元Stability Indexを本研究の問題に適用可能かどうかについては,まだ考察段階であり,成果発表のための出張や,論文の校正・投稿の費用が未使用となった. (使用計画)無限次元Stability Indexについて,成果発表のための出張や論文の校正・投稿は次年度に行うこととし,未使用額はその経費に充てることとしたい.
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Research Products
(1 results)