2023 Fiscal Year Annual Research Report
反応拡散系のパターンダイナミクスに対する非一様性・非局所性との関係
Project/Area Number |
19K14588
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
関坂 宏子 国立研究開発法人理化学研究所, 革新知能統合研究センター, 上級研究員 (10759153)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 反応拡散系 / 非局所発展方程式 / 安定性問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
空間多次元上のシリンダー領域上の反応拡散系の定常解や進行波解に対して安定性問題を考え,Evans関数の構成を行った.シリンダー領域は有界領域と1次元Euclid空間の直積で表され,有界領域上で一般の斉次境界条件を課し,Deng・新居(2006)の結果を拡張した.これより,多成分の反応拡散系および一般の斉次境界条件の場合においてもEvans関数の存在が保証される.また,応用例である2つのスポット解を繋げた解の存在を変分法により示した場合,解の微分の情報などが不足し,安定性を調べることができないことが分かった.もしこのような解の安定性を調べる際は,より精密な近似解を構成し,詳細な情報を取り出す必要がある. 次に,一般の畳み込み積分を含む非局所反応拡散方程式の初期値問題に対して,反応拡散近似ができるという結果を得た.特に,畳み込み積分の積分核は,本質的に可算無限個の関数列により近似される.しかしながら,反応拡散近似においては解の有界性や収束性に,関数列の個数が影響し,近似の収束オーダーと関数列の個数の増加が影響し,複雑な積分核の場合に反応拡散近似が上手く収束しないことが分かった.このように収束しない場合は数値計算により確認しており,同時に境界付近の誤差が大きいことも確認した.これらの結果は論文をまとめ投稿中である. 最後に,矩形領域における反応拡散系の定常解の安定性問題を考察した.Deng・新居(2008)を用いて,弱解の枠組みによりEvans関数が構成できることが分かった.弱解の枠組みを用いる必要があるのは,矩形領域の境界が滑らかではないため,構成方法を変える必要がある.応用例についても,2次元シリンダー領域上のplanar waveを矩形領域に切った領域上の定常解に対し安定性が変化するかも調べたい. 今年度の研究は,全て関坂歩幹氏(明治大学)との共同研究である.
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