2021 Fiscal Year Research-status Report
An Operator Theoretic Approach to Quantum Walks
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19K14596
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
布田 徹 国士舘大学, 理工学部, 准教授 (40824347)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 量子ウォーク / スペクトル理論 / ヒルベルト空間 / 作用素論 / 量子探索問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、以下を行った。 (1)一欠損を持つd次元2d状態スプリット・ステップ量子ウォークのスペクトル解析と極限分布に関する研究を完成させ、論文として再投稿し、雑誌に掲載された。この量子ウォークのモデルは、2010年のKitagawaらのスプリット・ステップ量子ウォークを一般化したモデルであり、コイン作用素に一つ欠損をもつものである。本研究は、信州大学の鈴木氏、横浜国立大学の成松氏、神奈川大学の斎藤氏との共同研究である。共同研究者らとはオンラインで打ち合わせを行った。 (2)2020年度より開始した Ising モデルにおける基底状態の探索アルゴリズムに関連する量子ウォークの研究を引き続き行った。本研究は北海学園大学の船川氏、信州大学の鈴木氏、atama plus 株式会社の半田氏、滋賀大学の浅原氏との共同研究であり、主にオンラインで会合の機会を持った。量子ウォークを用いた量子探索問題としては、既に Grover や Szegedy らの方法が知られているが、本研究においては Grover のアルゴリズムを参考にモデル構成を行った。古典 Ising モデルの推移確率行列に詳細釣り合い条件を課すことで、量子ウォークのスペクトル写像定理が適用できるモデルを構成することができ、いくつかの数学的な主張が得られた。また、このモデルのもとで、具体的な極限分布について一定の評価式を得ることができたが、残念ながら量子アルゴリズムとして期待される結果ではなかった。これにより、現在、モデルに大幅な変更を加え、研究を継続中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初設定したモデルに関するいくつかの結果が得られたが、量子アルゴリズムとして期待していた結果ではなく、モデルの設定自体を大幅に変更する必要が生じた。そのため、「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
Ising モデルにおける基底状態の探索アルゴリズムに関連する量子ウォークの研究において、これまでのモデルの設定に大幅な変更を加えて研究を進める。特に、これまでの離散時間量子ウォークから連続時間量子ウォークに変更し、いくつかの既知の結果を援用しながら解析する方針である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、参加予定だった学会・研究集会・研究打ち合わせがキャンセルまたはオンライン開催になり、旅費支出がなくなったことにより次年度使用額が生じた。使用計画は次年度以降の新型コロナウイルスの感染状況に依存するが、関連する学会・研究集会が対面によって開催されるか、対面による研究打ち合わせが可能になったら積極的に参加する予定である。
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