2022 Fiscal Year Research-status Report
An Operator Theoretic Approach to Quantum Walks
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19K14596
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
布田 徹 国士舘大学, 理工学部, 准教授 (40824347)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 量子ウォーク / スペクトル理論 / ヒルベルト空間 / 作用素論 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、以下を行った。 「強いシフト」を持つ2次元4状態スプリット・ステップ量子ウォークに対して、局在化のための十分条件を導出した。dが2以上の場合の、d次元2d状態スプリット・ステップ量子ウォークに対する局在化の十分条件の一部は、すでに [F., Funakawa and Suzuki, Quantum Inf. Process., 2017] で得られていたが、そこではシフトの効果が十分弱いことが要請されていた。シフトの効果が弱い場合に局在化が起こることはある程度直感とも合致するが、多次元スプリット・ステップ量子ウォークにおいてシフトの効果が強い場合であっても局在化が起こるかどうかは知られていなかった。そこで、本研究では、シフトの効果が強い場合の2次元4状態スプリット・ステップ量子ウォークの特殊なモデルを考察し、その時間発展作用素のスペクトル解析を行うことで局在化のための十分条件を導出した。また、時間発展作用素の固有値と固有ベクトルを具体的に表示し、どこで局在化が起きるのかも明らかにした。さらに、ここで得られた固有値は、特別な場合において、 閾値レゾナンスに漸近することを示し、それに対応する一般化された固有関数の表示も得た。本研究は、北海学園大学の船川氏、北海道情報大学の笹山氏、信州大学の鈴木氏との共同研究であり、研究打ち合わせはオンライン、国士舘大学、北海学園大学での対面にて集中的に行った。本研究結果は「Eigenvalues and threshold rezonances of a two-dimensional split-step quantum walk with strong shift」と題した論文としてまとめ、現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「強いシフト」を持つ2次元4状態スプリット・ステップ量子ウォークの局在化の結果は、想定されていたものではなく、研究計画が一部変更されたため現在までの進捗状況は「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の結果は、「強いシフト」という多次元スプリット・ステップ量子ウォークにおいて探索されていなかった領域のものであったが、2次元の特殊なモデルに限定されていた。より一般の多次元空間依存型コインをもつ量子ウォークの局在化の生起条件、速度分布の長時間極限の探究へと視野を広げて研究する方針である。
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Causes of Carryover |
2020年から始まる新型コロナウイルス感染拡大の累積的影響で、参加予定だった学会・研究集会の多くがキャンセルまたはオンライン開催になり、旅費支出が減ったことにより次年度使用額が生じた。使用計画は次年度以降の新型コロナウイルスの感染状況に依存するが、関連する学会・研究集会が開催されれば発表・情報収集のために参加予定である。
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