2019 Fiscal Year Research-status Report
複雑形状把握問題を解決するための環構造と凸包を併用した高速・精密判定法
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19K14599
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
児玉 賢史 東京理科大学, 研究推進機構総合研究院, 研究員 (60632552)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 複雑形状解析 / 分散コンピューティング / 形状認識 / 大規模演算 / データ圧縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
「2次元複雑形状」に関する形状解析法については、ほぼ完了し、結果については、後述の論文等にて発表を行った。また、「3次元複雑形状」に関する内外判定法については、判定そのものは可能であることを示すことができたものの、形状が複雑になるほど、判定に時間がかかってしまう。そこで、高速化するための方法について研究を行った。 高速化のための手法として、『高速に演算処理を行うための拡張ボードを用いる対処法』と『複数台のPCを並列化することで高速化する対処法』に着手した。また、近年、PC以外にも多くの高機能なデバイスが登場している。そこで、そのような機器も接続可能にするシステムについても研究を行った。さらに、『形状を学習することで高速化する対処法』についても、有効性の検証を行った。 研究成果等については、学術論文として投稿を行った。また、国際会議において発表を行うとともに、国内外の研究者からアドバイスを得ることができた。 本年度の主な研究成果として、高速に内外判定を行うための手法として、Internal and External Analysis Considering the Layers of Three-dimensional Shapes Using CUDA等が挙げられる。さらに、PC(演算器)を並列化して高速するための手法として、Rapid determination of three-dimensional convex shapes by dispersion processing using Java RMI等が挙げれらる。また、様々なデバイスを結合するための研究として、Application of Existing Network Methods in Low Power Long Range Wireless Communication等が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「2次元複雑形状」に対して角度を用いることで内外判定を行うシステムを構築した。さらに、「2次元複雑形状」で用いた判定法を拡張することで、「3次元複雑形状」に対して、任意の点の内外判定を行うことが可能となった。しかしながら、前項でも記述したように、判定すべき点が膨大となるため、2次元形状のアルゴリズムを単純に拡張するだけでは、処理速度が遅く、実用に耐えられるものではないことが判明した。そこで、現在、主に高速計算を行うための手法について研究を進めている。本年度は、特に一般的なPCにGraphics Processing Unit(GPU)を搭載することで、『General-Purpose computing on Graphics Processing Units(GPGPU)環境を構築し、Compute Unified Device Architecture(CUDA)を用いて計算する手法』と『複数台のPCを並列に接続することで、高速化を図る手法』との比較を行った。 CUDAを用いた判定では、通常の実装法と異なるため、必ずしも一般的な環境下で利用できるわけではないが、膨大な数のスレッドを利用することができることから、高速に判定できることが確認できた。一方、複数台のPCを並列化することで、高速化を図る方法では、主に協調処理の問題やネットワークに関する処理においてボトルネックが生じてしまうことが分かった。そこで、様々なデバイスを接続する方法や通常の通信を使わない手法についても研究を行うとともに、容易に接続するための仮想的なネットワークドライバを作成することで、各デバイスの仕様から生じる環境依存を減らすことについても研究を行った。その結果、PCのみならず、汎用性のある様々なデバイスを用いても、判定処理を行うことが可能となった。また、学習を併用する手法についても検証を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
「3次元複雑形状」の高速判定法と形状解析を行う予定である。そのために、前述した『CUDAを用いて高速化する手法』と、『ネットワークを介して並列計算器を用いた高速化する手法』について引き続き研究を行う。また、『形状解析や高速化にもつながる学習による手法』についても検討を行う方針である。 上記の方法を実現するために、これまでの2次元形状における判定法を単純に3次元形状に拡張するだけでなく、高速化に着目したアルゴリズムについても考察を行い、実装して実際に検証を行う予定である。特に、CUDAを使用した対処法については、通常のプログラミングと異なり、デバイスに適したアルゴリズムを導入する必要がある。そこで、デバイス側に特化したプログラムの作成と、ホスト(PC)側とのリンク(通信)に最適な手法について検討する。また、ネットワークを介して複数台のPCを並列化する方法については、様々な環境を想定し、実際に多数のデバイスを接続することで、有効性について検証を行いたい。 これまでは、比較的小規模なモデルに対して、内外判定法の有効性と一般的なデバイスを並列処理することで、高速化できることを確認した。しかしながら、「3次元複雑形状」の解析には、膨大な数の点に対して演算処理を行う必要がある。そのため、形状によって、結果を得られるまでの挙動が大きく異なる可能性がある。そこで、判定するモデルを大規模化するとともに、より多くのデバイスを導入することで、様々な環境下でも判定できることを示したい。また、高速化につながる手法として、学習に基づいた方法についても有効性を検証したい。そのために「3次元複雑形状」の認識に対しても、これまでの基本となるシンプルで単純な形状(プリミティブ形状)をベースとしたモデルから、一般的なモデルに対しても認識・判定できるアルゴリズムを構築し、実装を行いたい。
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Causes of Carryover |
アルゴリズムを中心とした研究を行ったため、高額なハードウェアを必要とする研究環境を構築する必要がなかったことから、次年度に予算を繰り越すこととなった。 具体的には、前項に示した通り、小規模実験による検証とアルゴリズムの改善を中心に研究を進めた。そのため、高額で高速処理が行えるGPUを利用せず、比較的安価なデバイスを使用して予備実験を先行して行った。また、並列接続を行うための検証環境も構築が容易な小規模な仕様で実装を行ったため、当初の計画より、安価に予備実験を行うことが可能となった。 小規模環境で良好な実験結果を得ることができたことから、次年度は、当初の計画通り、大規模な環境において実証を行う計画である。そのために、一般的な環境(一般的なコンシューマが使用できる環境)で利用しているGPGPUの環境構築と、複数台の様々な仕様のデバイスを活用した検証用機器の導入や大規模ネットワークの環境構築を予定している。また、現在、小規模環境下における結果から、理論的な側面が強いものの、大規模データにおいても(比較的)高速化が行えるという一定の評価を得ることができた。それらの結果については、学術論文として投稿するとともに、国際会議において、引き続き発表を行う予定である。そこで、本年度同様、論文投稿費や旅費等にも利用する計画である。
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Research Products
(6 results)