2019 Fiscal Year Research-status Report
経済データを用いた多元分割表のモデル提案と正確検定についての研究
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19K14600
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
生亀 清貴 日本大学, 経済学部, 講師 (30711593)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分割表解析 / 多変量解析 / 多元分割表 / 統計科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで多元分割表に対してセル確率の対称構造を表す様々なモデルが提案されてきたが、その多くは数理的な妥当性や整合性を求めるあまり、解釈がしにくいという難点があった。本研究では、日本の株価のデータを多元分割表の枠組みで表現し、株価の推移の対称構造について「解釈が容易な」モデルの提案を行う。さらに年ごとに作成される分割表の解析をそれぞれ行うことで、年代による確率構造の変化を明らかにする。作成される分割表は十分な観測度数が確保できないため、適合度検定におけるカイ二乗近似がうまくいかないおそれがある。したがって、小サンプルの下でも使用可能な正確検定の導出も試みる。本研究により得られた成果は経済分野だけでなく他分野にも応用可能である。 研究計画に従い研究を進めた結果、本年度は多元分割表解析における対称性に関するモデル群の構築を行った。これらのモデルは制約条件に関して包含関係をもつ。さらに、各モデルの下での最尤推定量を算出し、適合度検定(カイ二乗検定)により各モデルの当てはまりを調べることが可能となった。すなわち、解析データに対して、どの程度のレベルで対称性が成り立つのかを調べることが可能となった。 また、提案モデルを適用するためのデータの収集も現在行っている。具体的には東洋経済データサービスより取得した日本企業の株価データを用いて、多元分割表の作成を検討している。他の経済分野におけるデータの解析や、医学などの別分野においても利用可能なデータが存在するかなども調査中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の計画としては、データの収集を完了し、解析結果の吟味まで行う予定であった。しかしながら、モデルの構築やデータの取得に時間がかかったこと、本研究課題以外の研究に時間を割かれたことなどから、予定より研究を進めることが困難にあった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究で大まかな準備は済んでいるため、引き続き研究計画に沿って研究を進めていく予定である。 具体的には、解析モデルの数理的な性質を検討する予定である。モデルの当てはまりの良さを表す指標として、適合度カイ二乗統計量の他に何があるかを調査し、実際に検討することで、多角的に解析モデルの当てはまりの良さを検証する。 また、解析データとして検討している日本企業の株価データを多元分割表に変換する際に必要なプログラムの作成をRなどを用いて行う。 さらにデータ解析に厚みをもたせるため、経済の分野に限らず適用可能なデータを収集し、有用な知見が得られるかを試みる予定である。
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Causes of Carryover |
物品としてワークステーションを購入予定であったが、それを次年度に繰り越したため、次年度使用額が生じることとなった。
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