2020 Fiscal Year Research-status Report
経済データを用いた多元分割表のモデル提案と正確検定についての研究
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19K14600
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
生亀 清貴 日本大学, 経済学部, 講師 (30711593)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数理統計学 / 多元分割表 / 対称性 / 正確検定 / 株価データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は株価の推移のような本来連続型のデータとして扱われるデータを、いくつかの切断点を設けて離散型のデータとして扱うことを前提としている。本年度はこの変換の方法論を考えることで、連続型のデータを離散型のデータに変換する方法を定義した。この方法論は、当然ながら株価データだけではなく、現代社会に存在する様々なデータに対しても応用できなければならないので、現在は多方面の分野のデータに対しても適用が可能かどうかを検討している最中である。 データの準備が整ったことで、次のステップとして筆者が考える、統計学にあまり詳しくない人々にも解釈が容易な多元分割表における統計モデルの定義を行った。これらの統計モデルは複数存在し、対称性の強さによって各モデルには包含関係が存在する。今回の例では、研究計画でも示したとおり、株価を3カテゴリで4つの時点で測定する3×3×3×3の分割表を想定しているが、今後の発展としてより一般的なサイズの多元分割表にも拡張することが重要であるため、それらの拡張性についても念頭に置きながらモデルの考案を行った。 さらに、提案モデルの当てはまりの良さを調べるため、適合度検定やAICの算出などの準備をしている最中である。これらの指標を用いるためには、各モデルの元での最尤推定量を求める必要があるが、モデル式が複雑なため、その算出に時間がかかっているのが現状である。より一般的な議論では次元数、カテゴリ数が増加することを見越して、疎な分割表に対しても適用可能な正確検定も視野に入れ、研究を進めていることも計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は新型コロナの影響で、学会やシンポジウム等が軒並み中止になってしまい、他大学や他企業の研究者と顔を合わせて議論する機会がほぼなくなってしまった。さらに、大学がオンライン授業になったことで、同じ大学の研究者とさえ、満足にコミュニケーションを取るのが困難であった。Zoomなどを用いたオンラインでの議論も試みてはいるが、やはり対面式の場合よりも不自由さが勝り、また世間の変化に多少なりとも振り回されたことで、研究に集中できない時期が続いたのは事実である。特に、本研究は応用面での有用性を示すため、筆者がそれほど詳しいわけではない様々な分野のデータも取り扱うことになっている。そのためには他分野の研究者との密接な議論が重要である。それらがかなり制限されたことで、まだまだ詳細な検証が不足していると考えている。2021年度も同様の制限が続くため、この情勢でも他研究者との議論をより進めていく方法をとる必要があるが、これまでの通りのペースで進められるかには疑問が残る。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度が当科研費の最終年度ということで、これまで二年間行ってきた研究をさらに進め、ひとつの結果としてまとめる必要がある。他の項目でも触れたように、新型コロナの影響で研究が遅れている部分はあるが、理論としてのモデル提案および適合度検定による当てはまりの良さの検証は行えるため、まずはそちらを満足させることを目指している。応用面については、未だコロナの影響は続いており、他者との対面など制限されている部分も多いが、オンラインでの議論をうまく利用するなどその制限にうまく適合することで議論可能な部分は議論し、可能な限り検証を進めていく予定である。今年度中にこれらの研究を論文としてまとめ、海外ジャーナルに投稿を行うことを急務とする。当初目標として掲げていた研究内容に関して、完遂できなかった箇所に関しては、2022年度以降も引き続き取り組み、満足の行く結果が出るまで研究を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額がかなりの額となってしまったが、もっとも大きな理由としては、新型コロナの影響により出張制限がかかり、予定していた国際会議に参加することができなかった点が挙げられる。国際会議への参加のための出張費は、筆者が計画していた科研費の使用の内訳のなかでも特に大きいものであり、それが不参加となったため、非常に高い割合で科研費が残っている結果となった。この傾向は2021年度も続くため、出張費とは別の項目で科研費を使用する計画を立てている。具体的には、研究の応用面での比重を増すため、解析データの購入などに充てる予定である。さらに、計算プログラムの正確性の担保のために、有償の統計解析ソフトを購入し、複数のアプリケーションで計算を行い計算結果の妥当性を評価することを目的としている。
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