2019 Fiscal Year Research-status Report
Local asymptotic mixed normality for discretely observed diffusion processes
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19K14604
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荻原 哲平 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (40746426)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数理統計学 / 計量ファイナンス / 漸近理論 / 拡散過程 / 局所漸近混合正規性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、まず多次元拡散過程の積分値観測モデルにおける局所漸近混合正規性(local asymptotic mixed normality, LAMN)と呼ばれる性質を証明することを目標としていた。LAMNを示すことで任意の推定量の漸近分散の下限を導出することができ、下限を達成する推定量が最適な推定量となるため、推定量の最適性について論じることができる。 2019年度の研究においては、主に以下の成果を得た。 1.Jeganathan (1982)のL2 regularity conditionを用いてLAMNを示すスキームを拡散過程の高頻度観測モデルに適用できるように拡張した。多次元の積分値観測モデルのLAMNを示す上で、一次元の場合のGloter and Gobet (2008)において用いていた、拡散過程と積分値過程の同時推移確率密度関数がガウス関数で上と下から評価できるという性質を示すのが困難であり、同様のアイディアでLAMNを示すことができないことが問題であった。L2 regularity conditionを用いたスキームでは、上記の同時推移確率密度関数の評価を回避してLAMNを証明することが可能であるため、多次元の積分値観測モデルのLAMNを示す上での大きな前進となった。 2.1.のスキームにMalliavin解析のテクニックを組み合わせることにより、観測データのMalliavin行列が非退化である時にLAMNをしめすスキームを開発した。従来手法と異なり、推移確率密度関数の評価がいらないだけではなく、推移確率密度関数に零点が存在する場合にも適用可能となった。拡散過程の推移確率密度関数に零点が存在するかどうかをチェックするのは一般には容易ではないため、零点を含むケースへの拡張は重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Malliavin解析の技術とJeganathan (1982)のスキームを合わせることにより、拡散過程の統計モデルに対して汎用的に適用可能なLAMNを証明するスキームを開発することができたため、当初想定していた積分値観測モデルだけではなく、より広いモデルに適用することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は積分値観測モデルに対するLAMNを示すことが計画であったが、より広いモデルへの適用が可能と期待されるので、結果を拡張していくことを検討し、論文投稿を目指していく。
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Causes of Carryover |
国際会議にて情報収集・成果発表をする機会が想定より多く得られたため、想定していたワークステーションの購入に関しては、既存のマシンで代用した。余剰分は翌年度分と合わせて、論文の英文校正費用や情報収集・成果発表のための国内外の学会への出張に充てていく。
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Research Products
(7 results)