2021 Fiscal Year Annual Research Report
Numerical study of critical phenomena in disordered topological quantum systems
Project/Area Number |
19K14607
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 浩二 東北大学, 金属材料研究所, 特任助教 (10711905)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トポロジカル量子系 / 異常ホール効果 / 量子輸送現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度である今年度は、乱れのあるDirac/Weylセミメタルに関連する以下の4つの研究成果をまとめ、それぞれ論文が出版された。 (1)強磁性電極誘起ホール効果を発見した。トポロジカルDiracセミメタルに強磁性体の電極を接続することで大きなホール角が得られ、また電極磁化を変化させることでホール電圧の符号と大きさを制御できることを示した。Cd3As2やNa3Biなど実際の物質においても大きなホール角が得られることが示唆され、デバイスへの応用も期待される。(2)Dirac/Weylセミメタルの薄膜に磁場を印加した際のランダウ準位形成を研究した。これはいわゆるWeyl軌道と呼ばれ最近活発に議論されている問題に関して重要な示唆を与えるものである。(3)Weylセミメタルにおける内因性・外因性ホール効果と縦伝導度の関係を解明した。特に有限エネルギー領域におけるホール伝導度の増大の普遍的性質が示唆されたことは、Weylセミメタルの臨界現象を解き明かす際の重要な手がかりとなる。(4)合金の第一原理計算を大幅に効率化するアルゴリズムを開発した。これを用いると、乱れによるトポロジカル物質の相転移を第一原理計算により調べることも可能になる。 本研究課題実施期間を通して、これまでほぼ未知の領域であった乱れのあるDirac/Weylセミメタルにおける弾道的輸送やホール伝導の臨界的性質を詳細に調べたことに加え、その特殊な特性をスピントロニクス・デバイス応用へ繋げるための基礎研究や提案まで行った。本研究課題の成果は、乱れのあるDirac/Weylセミメタルの基礎物性の理解を進展させるのみならず、デバイス応用へ向けた課題と利点を明らかにするなど、物質探索を始めとする実験の進展も刺激するものである。以上の基礎理論構築に関する成果に加えて計算手法の改良も行っており、今後のさらなる発展が期待される。
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