2021 Fiscal Year Research-status Report
Topological phenomena in unconventional superconductors
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19K14612
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
小林 伸吾 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 研究員 (40779675)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超伝導 / マヨラナ粒子 / トポロジー / ボゴリューボフフェルミ面 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、主に(1)トポロジカル超伝導体におけるマヨラナ準粒子の多極子応答の定式化、(2)電気応答の理論、(3)J=3/2フェルミオンを持つ超伝導体におけるボゴリューボフフェルミ面と奇周波数クーパー対の関係について研究を行った。以下、それぞれの研究成果をまとめる。 (1)マヨラナ準粒子の電磁気構造を多極子の観点から定式化した。本理論より、トポロジカル超伝導体の2つの普遍的性質を明らかにした。(i)マヨラナ準粒子の磁気構造とクーパー対の対称性の間に一対一の対応関係がある。(ii)マヨラナ準粒子の磁気構造は磁気双極子(超流動ヘリウム3 B相など)と磁気八極子(ハーフホイスラー超伝導体など)の2つのタイプのみが存在する。前者は、トポロジカル超伝導体の知識より、非従来型超伝導体のクーパー対対称性の精密測定を行える可能性を示唆し、後者は従来と新奇トポロジカル超伝導体を差別化する指標を与える。 (2)上記で述べた磁場を用いた測定はマイスナー効果などの影響が避けられない。この問題を克服するため、我々は、磁場に代わりとして歪みに対する応答を調べた。歪み応答は、電気的な応答であり、4つマヨラナ準粒子が存在するとき現れる。我々は、電気的応答を網羅的な分類を行った。我々は本理論をアンチペロブスカイトディラック金属の超伝導体へ適用し、歪みにより4重縮退したマヨラナ準粒子にギャップが開くことを示した。 (3)本研究ではスピン5重項超伝導体におけるボゴリューボフフェルミ面の電子状態を調べ、ボゴリューボフフェルミ面上には時間反転対称性の破れを伴う奇周波数クーパー対が普遍的に存在することを明らかにした。本研究成果はボゴリューボフフェルミ面の物性を理解する手掛かりを与えると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、マヨラナ準粒子の電磁気応答理論を深化させ、一般的な電磁気応答理論を展開することができた。また、近年注目されている新奇ノード構造-ボゴリューボフフェルミ面-へ研究対象を広げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は以下の研究を遂行する予定である。 (1)マヨラナ準粒子の応答理論の研究 これまでの研究でマヨラナ準粒子の電磁気応答理論を発展させてきたが、複雑な非共型対称性が存在する場合や時間反転対称性が破れた場合など、理論の発展の余地が残されている。これらを念頭に、今後もマヨラナ準粒子の研究を推進していきたいと考えている。 (2)J=3/2フェルミオンを持つ超伝導体の物性研究 J=3/2フェルミオンを持つ超伝導体はボゴリューボフフェルミ面を始めとして、スピン軌道相互作用と多バンド効果の協奏による多様な物性を調べる理想的な系である。2020年度の研究を発展させ、今後も超伝導物性の研究を推進していきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
昨年度に引き続き、コロナウイルスまん延防止の観点から国内外の出張を控えたため、次年度使用額が生じた。今後は、経済活動を再開しつつある状況を考慮し、国内出張を中心に研究活動を再開したいと考えている。予算は、出張旅費や会議参加費(オンライン国際会議を含む)、研究資料購入費、論文出版費に使用する予定である。
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Research Products
(18 results)