2022 Fiscal Year Annual Research Report
伝播現象におけるバースト性の役割:理論的解明と多様な伝播現象への応用
Project/Area Number |
19K14618
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
翁長 朝功 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (90823922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ネットワーク科学 / ゲーム理論 / 伝播現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
伝播現象とは、感染症、意見や情報、金融市場における取引など、イベントが次のイベントの発生を引き起こす現象の総称である。これらの現象は、ネットワークを通して社会または金融市場に伝播していく。伝播現象に関する研究は世界的に活発に行われているが、未解決問題は山積している。また、金融ネットワークなど経済学分野への貢献も期待されている。本研究課題の目的は、伝播現象におけるバースト性について、理論的に解明し、複数の伝播現象への応用を行う事である。 2022年度は、1つ目に、昨年度までに行ったネットワーク上のゲーム理論の研究が論文として出版された。購買行動が社会ネットワークを通して連鎖する現象は、経済学ではネットワーク・ゲームとして研究されてきた。解の存在など数学的な性質が詳しく調べられる一方で、ネットワーク構造としては単純な構造が仮定されていた。より複雑なランダム・ネットワークの場合に、統計物理学で発展してきたキャビティ法を適用して、ナッシュ均衡を導出することができた。行動の連鎖(カスケード)が現れるカスケード条件を導出した。 2つ目に、伝播現象に関する理論を感染症に応用し、政策介入による効果を検証した。介入タイミングが累積感染者数及びピーク感染者数に与える影響について分析した。論文として出版された。 3つ目に、本研究プロジェクトの発展として、2つのコミュニティのモデルの予備的な分析を行なった。またネットワーク上のゲーム理論とスピングラス理論との対応関係について、洞察が得られた。これらの知見をプロジェクト終了後の研究に生かしたい。
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Research Products
(8 results)